臨床 自家心膜弁つき管状グラフトによる右心流出路再建法 とくにその遠隔成績, 問題点と対策について
昭和43年から昭和54年の11年間に行われた26例の自家心膜弁つき管状グラフトによる右心流出路再建例の手術成績と遠隔成績について報告した.手術死亡率は46%と不満足でとくに進行性肺血管病変をもつ症例や共通房室弁をもつ症例で不良であったが,手術手技,術後管理に問題のあった症例もみられた.遠隔死亡は2例で,1例は再手術で,他の1例は抜歯後の細菌性心内膜炎で失った.生存例12例の状態は良好で,大多数は正常の生活が可能であった.平均3.4年後の静脈性心室と肺動脈間の圧差は32mmHgで,グラフトは導管としてよく機能していた.グラフトの石灰化を1例で認めたがグラフト自体の瘤形成や著しい狭窄はみとめなかっ...
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Published in | 心臓 Vol. 13; no. 11; pp. 1354 - 1361 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
25.11.1981
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.13.11_1354 |
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Summary: | 昭和43年から昭和54年の11年間に行われた26例の自家心膜弁つき管状グラフトによる右心流出路再建例の手術成績と遠隔成績について報告した.手術死亡率は46%と不満足でとくに進行性肺血管病変をもつ症例や共通房室弁をもつ症例で不良であったが,手術手技,術後管理に問題のあった症例もみられた.遠隔死亡は2例で,1例は再手術で,他の1例は抜歯後の細菌性心内膜炎で失った.生存例12例の状態は良好で,大多数は正常の生活が可能であった.平均3.4年後の静脈性心室と肺動脈間の圧差は32mmHgで,グラフトは導管としてよく機能していた.グラフトの石灰化を1例で認めたがグラフト自体の瘤形成や著しい狭窄はみとめなかった.しかし放置された末梢肺動脈狭窄や肺動脈分岐部狭窄は血行動態上の異常の主因であった.これら狭窄の完全解除が遠隔成績向上の要因と考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.13.11_1354 |