片側性唇顎口蓋裂児の二段階口蓋形成手術後の5-Year-Olds’Indexでの評価 軟口蓋形成法および硬口蓋閉鎖時期の影響
新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科(以下,当科)では,1974年の開設以来,チームアプローチによる一貫した管理体制で口唇裂・口蓋裂治療にあたってきた。1983年からHotz床併用二段階口蓋形成手術法(以下,二段階法)を採用しているが,過去に2度,言語成績の向上を目的に手術プロトコールを変更してきた。これまで,言語評価と上顎歯列模型の形態分析から治療成績の向上を報告してきたものの,咬合という観点からは検討されていなかった。そこで,今回5-Year-Olds’Indexを用いて咬合関係を評価し,2度の手術プロトコール変更の妥当性を検証した。 対象は,当科で治療した片側性唇顎口蓋裂の一次症例のうち...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 200 - 209 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
2022
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate.47.200 |
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Summary: | 新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科(以下,当科)では,1974年の開設以来,チームアプローチによる一貫した管理体制で口唇裂・口蓋裂治療にあたってきた。1983年からHotz床併用二段階口蓋形成手術法(以下,二段階法)を採用しているが,過去に2度,言語成績の向上を目的に手術プロトコールを変更してきた。これまで,言語評価と上顎歯列模型の形態分析から治療成績の向上を報告してきたものの,咬合という観点からは検討されていなかった。そこで,今回5-Year-Olds’Indexを用いて咬合関係を評価し,2度の手術プロトコール変更の妥当性を検証した。 対象は,当科で治療した片側性唇顎口蓋裂の一次症例のうち,資料の整った97例とした。97例は,軟口蓋形成術の術式と硬口蓋閉鎖術の時期により,①P+5群:1983~1995年に軟口蓋形成術を1歳半にPerko法で施行し,硬口蓋閉鎖術を5歳半に鋤骨弁法で施行した23例,②F+5群:1996~2009年に軟口蓋形成術を1歳半にFurlow変法で施行し,硬口蓋閉鎖術を5歳半に鋤骨弁法で施行した49例,③F+4群:2010~2017年に軟口蓋形成術を1歳半にFurlow変法で施行し,硬口蓋閉鎖術を4歳に鋤骨弁法で施行した25例の3群に分類し,比較検討を行った。 5-Year-Olds’Indexを用いた咬合評価の結果,各群のスコアは,P+5群:2.65,F+5群:2.77,F+4群:2.80であり,t検定においてP+5群とF+5群間,F+5群とF+4群間に有意差はなかった。一方,度数分布ではF+4群は他の群に比べ,G1の比率が有意に低かった。なお,いずれの群においてもGroup 5はなかった。 以上のことから,当科で行った手術プロトコールは言語成績の向上にはたらくものの,硬口蓋閉鎖時期の早期化が上顎歯列の頬舌的な成長に抑制的な影響を与えている可能性も示唆され,咬合関係に留意すべき症例もあると考えられた。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate.47.200 |