当院における大腿骨頚部骨折地域連携クリニカルパスの使用経験 導入前後の比較検討

【はじめに】 当院では2006年4月より大腿骨頚部骨折地域連携クリニカルパス(以下CP)を導入し,計画管理病院,地域連携病院(3施設)にて運用している。CP導入により連続性のあるリハビリテーションの提供が可能になった。当院におけるCP導入前後の臨床実績を比較し検討したので報告する。 【対象および方法】 対象はCP導入前(以下前群)の2005年4月からの1年間で計画管理病院より紹介入院された大腿骨頚部骨折術後患者19名中,CP適応と考えられる者9名(平均年齢:80.0歳,男性:3名,女性6名),CP導入後(以下後群)として2007年11月から1年間で当院に入院されたCP適用者15名(平均年齢:7...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 124
Main Authors 猪股, 伸晃, 大河原, 和也, 半田, 学, 江原, 大輔, 萩原, 沙知, 金城, 拓人, 今野, 敬貴, 石坂, 裕子, 中川, 和昌, 近藤, かな江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.124.0

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Summary:【はじめに】 当院では2006年4月より大腿骨頚部骨折地域連携クリニカルパス(以下CP)を導入し,計画管理病院,地域連携病院(3施設)にて運用している。CP導入により連続性のあるリハビリテーションの提供が可能になった。当院におけるCP導入前後の臨床実績を比較し検討したので報告する。 【対象および方法】 対象はCP導入前(以下前群)の2005年4月からの1年間で計画管理病院より紹介入院された大腿骨頚部骨折術後患者19名中,CP適応と考えられる者9名(平均年齢:80.0歳,男性:3名,女性6名),CP導入後(以下後群)として2007年11月から1年間で当院に入院されたCP適用者15名(平均年齢:78.7 歳,男性:1名,女性14名)とした。 調査項目は1)帰結,2)平均在院日数,3) 退院時歩行能力とした。 【結果】 1)帰結:自宅退院(前群7名,後群12名),転院(前群1名,後群1名),施設入所(前群1名,後群2名),自宅復帰率(前群77.8%,後群80.0%), 2)平均在院日数:前群116.9±75.2日,後群80.7±35.1日,3)退院時歩行能力:独歩(前群2名,後群2名),T字杖歩行自立(前群3名,後群6名), T字杖歩行監視(前群2名,後群5名),T字杖歩行介助(前群0名,後群1名),歩行不可(前群2名,後群0名) 【考察】 CP導入により平均在院日数の短縮を認めた。連携パス作成が契機となり,これまで以上に各施設および当院内での情報の共有や他職種連携が進んだことが一要因として考えられた。また,早期の段階で自宅退院を含めた治療計画が提示されることにより,患者や家族が早期から退院後のイメージを具体的に描くことが可能になり,本人のいわゆる心の準備や家族の受け入れ態勢が整いやすくなったことも大きな要因であったと考えられた。平均在院日数が短縮したにも関わらず自宅復帰率は導入前後で差が認められなかった。このことからCP導入により施設間および当院内連絡,連携に要する無駄な期間を出来る限り短縮し効率化を進めることは,医療連携側だけでなく患者側においても有益になると考えられた。CP導入後,退院時予測される歩行能力が監視,介助レベルの患者では環境設定へのアプローチを考慮する時期が早くなった印象がある。今後,歩行,移動,日常生活動作能力の受傷前後の獲得達成度を調査内容として考慮し,CPの改善につなげる必要がある。
Bibliography:124
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.124.0