臨床 心房細動患者の疫学的臨床像 左房拡大と心房性ナトリウム利尿ペプチドの関連を含めて

1990~1996年の間に東海大学伊勢原病院循環器内科外来を受診し心房細動と診断した連続603例を対象とした.通常の諸検査に加え,断層,Mモードおよびドプラ心エコー図法を行った.発症年齢分布,性別,病因,臨床所見,病態とくに左房拡大の評価を行った.一部の症例で心房性ナトリウム利尿ペプチドの血中濃度を測定し,左房の負荷,拡大との関連を検討した.男女比は3:1,発症年齢は50~60代を中心とした.病因,誘因は高血圧症,心弁膜症,虚血性心疾患,甲状腺疾患が多く,不明の症例も198例(33%)と多いことが明らかとなった.病因,誘因の明確例と不明例の発症年齢分布には差がなかった. 症例の1 / 5 で合...

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Published in心臓 Vol. 30; no. 11; pp. 671 - 677
Main Authors 椎名, 豊, 田辺, 晃久, 王, 瑛, 小熊, 利明, 半田, 俊之介, 五十嵐, 美穂子, 楠崎, 滋, 吉武, 基之, 滝川, 修, 後藤, 信哉, 阿部, 純久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.11.1998
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.30.11_671

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Summary:1990~1996年の間に東海大学伊勢原病院循環器内科外来を受診し心房細動と診断した連続603例を対象とした.通常の諸検査に加え,断層,Mモードおよびドプラ心エコー図法を行った.発症年齢分布,性別,病因,臨床所見,病態とくに左房拡大の評価を行った.一部の症例で心房性ナトリウム利尿ペプチドの血中濃度を測定し,左房の負荷,拡大との関連を検討した.男女比は3:1,発症年齢は50~60代を中心とした.病因,誘因は高血圧症,心弁膜症,虚血性心疾患,甲状腺疾患が多く,不明の症例も198例(33%)と多いことが明らかとなった.病因,誘因の明確例と不明例の発症年齢分布には差がなかった. 症例の1 / 5 で合併症をみた. 半数は脳梗塞,その他の部位の血栓塞栓症,心ポンプ機能障害が1/4であった.左房径は健常者に比べ発作性例で大きく,慢性例ではさらに大きかった.左房負荷を伴う心弁膜症例では明らかな負荷がない病因,誘因不明例に比べ左房径が一層大きかった.左房拡大例では血中心房性ナトリウム利尿ペプチドの上昇を認めたが,左房拡大との間に一対一の関連はなかった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.30.11_671