COVID-19 患者の重症低酸素血症に対してECMO(体外式膜型人工肺)使用し、離脱後ICU での理学療法を開始した一症例 ADL 自立し自宅退院を目指して
【はじめに、目的】ICU に入室しているCOVID-19 重症患者では、通常人工呼吸器管理が必要であり、ECMO を使用することもある。これらに加え鎮静管理等により長期にわたり安静臥床や不動による筋力や身体機能低下を惹起し、長期にわたるPICS(Post intensive care syndrome)によりADL 及びQOL の低下を招く。急性期リハビリテーションでは不動による合併症の防止とともに機能の維持・改善を目的とすることが推奨されている。今回COVID-19 患者の重症低酸素血症に対して、人工呼吸器・ECMO 導入し、ECMO 離脱後より理学療法を開始した。歩行獲得まで時間を要したが...
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Published in | 九州理学療法士学術大会誌 p. 91 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
2021
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2434-3889 |
DOI | 10.32298/kyushupt.2021.0_91 |
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Summary: | 【はじめに、目的】ICU に入室しているCOVID-19 重症患者では、通常人工呼吸器管理が必要であり、ECMO を使用することもある。これらに加え鎮静管理等により長期にわたり安静臥床や不動による筋力や身体機能低下を惹起し、長期にわたるPICS(Post intensive care syndrome)によりADL 及びQOL の低下を招く。急性期リハビリテーションでは不動による合併症の防止とともに機能の維持・改善を目的とすることが推奨されている。今回COVID-19 患者の重症低酸素血症に対して、人工呼吸器・ECMO 導入し、ECMO 離脱後より理学療法を開始した。歩行獲得まで時間を要したが自宅退院することができた症例を経験したので報告する。【症例紹介】〇基礎情報:年齢: 60歳代 男性 身長;160 cm 体重:74.2 ㎏ BMI:29.0〇現病歴:CIVID-19 で他病院で治療を受けていたが、呼吸状態悪化したために当院へ転院しCOVID-19 専用病棟に入室となった。その後、さらに呼吸状態悪化したため人工呼吸器、ECMO 導入となりICU 入室。ECMO 離脱後ICU での理学療法開始となった。〇既往歴:高血圧 脂質異常症 耐糖能異常症 11 年前急性心筋梗塞〇喫煙歴 57 歳まで20 本/ 日【経過・結果】当院6 病日、人工呼吸器、ECMO 導入、11 病日後ECMO 離脱後ICU で理学療法開始した。体位ドレナージ及び呼吸練習及び離床を開始。15 病日後ICU 退室し専用病棟へ転室。20 病日人工呼吸器離脱後筋力も徐々に改善しベッド端座位保持可能となった。嚥下機能低下、構音障害あるためにST 介入。その後レッドゾーン内での介助歩行開始すた。COVID - 19 陰性後グリーンゾーンでの歩行練習等行った結果ADL 獲得でき、61 病日後に自宅へ退院した。【考察】COVID-19 患者に対してECMO 導入された当院での初めての症例である。ECMO、人工呼吸器使用により、深鎮静および、筋弛緩薬が使用されていた。このことによりICU-AW、嚥下障害 せん妄等を併発した。ICU 退室してからもこれらの症状は持続していたために歩行獲得までに時間を要した。理学療法を施行するうえで、人工呼吸器、他複数の持続的静注薬管理されているためにNsと協力して行うことが必要となる。レッドゾーン内での理学療法を行うえでPPE のために通常より動作の視野や感覚が異なりより注意して介入する必要がある。。理学療法施行に当たり、理学療法士が感染しない、他に感染させないことが重要であり、スタッフ間の協働がより重要であると思われる。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の計画立案に際し,事前に所属施設(もしくは研究協力施設)の倫理審査員会の承認申請中である。 また研究の実施に際し,対象者に研究について十分な説明を行い,同意を得た。 |
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ISSN: | 2434-3889 |
DOI: | 10.32298/kyushupt.2021.0_91 |