MFR(Myofascial Release)とストレッチの治療効果検証 表在/深部筋の反応の違いを比較
【目的】筋膜治療により疼痛の改善、動作能力向上といった反応が認められる事は事実である。筋膜リリース(Myofascial Release:以下 MFR)もその一つだが、臨床上、触診による筋の緩み、動作スピード、協調性、関節可動性等の確認となり客観性に欠ける。且つ、同じ筋治療としてストレッチもあるが、明確な使い分けは臨床家も示せていない。今回は超音波診断装置を利用し、MFRとストレッチの治療効果について検証したので報告する。【方法】対象は運動器疾患のない男性11名(年齢26.0±4.9歳、身長171.9±4.1cm、体重72.6±16.9kg)の右大腿11肢。各手技前後の超音波診断装置(TOSH...
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Published in | 九州理学療法士学術大会誌 p. 84 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
2019
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Summary: | 【目的】筋膜治療により疼痛の改善、動作能力向上といった反応が認められる事は事実である。筋膜リリース(Myofascial Release:以下 MFR)もその一つだが、臨床上、触診による筋の緩み、動作スピード、協調性、関節可動性等の確認となり客観性に欠ける。且つ、同じ筋治療としてストレッチもあるが、明確な使い分けは臨床家も示せていない。今回は超音波診断装置を利用し、MFRとストレッチの治療効果について検証したので報告する。【方法】対象は運動器疾患のない男性11名(年齢26.0±4.9歳、身長171.9±4.1cm、体重72.6±16.9kg)の右大腿11肢。各手技前後の超音波診断装置(TOSHIBA社製Xario100)による筋厚(Aモード法)を同部位で計測し、SLRは関節可動域テストを実施した。計測対象筋は半腱様筋・半膜様筋。肢位は安静腹臥位にて股関節・膝関節伸展0°、前足部をベッドから下垂。MFR施行後、3日以上間隔を空け、ストレッチを実施。MFRの施行技術は、竹井らの先行研究を基に皮膚のたるみがなくなる程度の圧力(5~20g)を加えて伸張する手技を採用し、時間は180秒。ストレッチ方法は内側ハムストリングスの筋腱移行部にダイレクトストレッチを加え、連続30秒ストレッチした後に、30秒の休憩をはさむ。(×3セット180秒実施)。統計学的検討には,検者内信頼性は級内相関係数(以下ICC),対応のあるt 検定を用い,有意水準は危険率5% 未満とした。【結果】ICC は,双方の筋厚全ての条件で 0.974以上と高値を示した。超音波評価MFR半腱様筋(P<0.01)、半膜様筋(P<0.05)、ストレッチ半腱様筋(P<0.01)、半膜様筋(P<0.05)と双方で有意差を示した。MFR実施前後の筋厚変化(平均:半腱様筋+1.81mm、半膜様筋-1.76mm)。ストレッチ前後の筋厚変化(平均:半腱様筋+0.72mm、半膜様筋-1.22mm)。SLRにおいてはMFRとストレッチともに(P<0.001)で有意差を認めた。【考察】MFR とストレッチ共に施行前後での有意差を示す値が認められた。また、表在の半腱様筋においてはMFRの方が施行後の厚みが増す傾向であった。中村らは筋束長はストレッチで変化せず、筋膜結合組織の滑走により筋腱移動距離が長くなると示しており、MFRが効果的にコラーゲン線維の滑走につながったと解釈する。コラーゲン線維が滑走により細胞外基質間に水分が入り込むことも報告があり、今回の結果と一致する。また、深層の半膜様筋の結果から、MFRでは深部まで滑走が行えていない可能性がある。【まとめ】治療の違いで、内部の筋の影響が変化する。筋厚・SLRの結果から局所の線維滑走が少ないストレッチに対して、MFRは線維滑走を促し、組織代謝・循環改善が部分的に行えることが示唆される。よって、筋のリラクゼーションと部分的な疼痛治療といった使い分けが出来るのではないかと考える。ただし、深層の筋はMFRで効果を出していくには熟練された技術が必要かと感じる。 【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施し、丁寧に説明を行い被験者への同意を得ている。個人情報・データに関しては十分に配慮して管理している。 |
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ISSN: | 2434-3889 |
DOI: | 10.32298/kyushupt.2019.0_84 |