臨床 家族性原発性肺高血圧症における表現促進現象 本邦報告例の集計と臨床的特徴

原発性肺高血圧症(PPH)の家族内発症はよく知られているが,その臨床像は必ずしも明らかではない.我々は,家族性PPHの自験例2家系と,本邦での報告例の臨床像を検討したので報告する. 対象は23家系(親子例12組,同胞例14組).親子例では世代を経るごとに発症年齢の早期化,いわゆる表現促進現象が認められた. 初診時理由(主訴)は親子例,同胞例ともに動悸・息切れ,血痰・喀血によるものが多かったが,健診を契機に発見された例も散見された.また,成人女性22例中13例に妊娠を契機とした病状の悪化が報告されていた. 各症例に対する治療は様々であったが,PGI2持続静注療法施行例は自験例のみであり,移植治療...

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Published in心臓 Vol. 33; no. 12; pp. 911 - 917
Main Authors 岡田, 恭典, 井上, 佳也, 森川, 昭廣, 金子, 浩章, 小林, 富男, 下山, 伸哉, 鬼形, 和道, 竹内, 東光, 小林, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.2001
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.33.12_911

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Summary:原発性肺高血圧症(PPH)の家族内発症はよく知られているが,その臨床像は必ずしも明らかではない.我々は,家族性PPHの自験例2家系と,本邦での報告例の臨床像を検討したので報告する. 対象は23家系(親子例12組,同胞例14組).親子例では世代を経るごとに発症年齢の早期化,いわゆる表現促進現象が認められた. 初診時理由(主訴)は親子例,同胞例ともに動悸・息切れ,血痰・喀血によるものが多かったが,健診を契機に発見された例も散見された.また,成人女性22例中13例に妊娠を契機とした病状の悪化が報告されていた. 各症例に対する治療は様々であったが,PGI2持続静注療法施行例は自験例のみであり,移植治療を受けた例はみあたらなかった. 家族性PPHの臨床像は散発例の報告とほぼ同様であり,以上の集計結果は家族性PPH,さらには散発例のPPHの診療にあたる上で,有用な疫学的事象となると思われた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.33.12_911