住宅関連CO2排出構造からみた地域特性の分析に関する研究 地球環境保全と地域住宅政策の基礎的研究
気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3:The 3rd Session of the conference of parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)において,2008年から2012年まで5年間の温室効果ガスの排出量を1990年に比べて,日本は6%削減することが決まった。このような背景のもと,本研究では住宅に開連する二酸化炭素(以下CO2とする)の排出量について,その実態と近年の動向を地域別に明らかにし,住宅分野における温暖化防止対策を,検討するための基礎資料を作成することを目的としてい...
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Published in | 住宅総合研究財団研究年報 Vol. 25; pp. 235 - 246 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般財団法人 住総研
1999
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-1864 2423-9879 |
DOI | 10.20803/jusokennen.25.0_235 |
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Summary: | 気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3:The 3rd Session of the conference of parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)において,2008年から2012年まで5年間の温室効果ガスの排出量を1990年に比べて,日本は6%削減することが決まった。このような背景のもと,本研究では住宅に開連する二酸化炭素(以下CO2とする)の排出量について,その実態と近年の動向を地域別に明らかにし,住宅分野における温暖化防止対策を,検討するための基礎資料を作成することを目的としている。特に我が国の建築物の耐用年数は欧米諸国に比べて短く,このことによって建設過程で排出される温暖化ガスも相当量あることから,LCCO2(Life Cycle CO2)の視点から評価を行なっている。居住過程でのCO2排出量は家計調査等をもとに,建設過程でのCO2排出量は住宅着工統計等をもとに,それぞれ全国の排出量を地域別に算出した。さらに,COP3で決定された数値目標の基準年である1990年から,目標年までの4分の1である5年経過の1995年水準(1993年から1997年平均)の状況についても考察を行なった。本研究の結果以下のようなことが明らかになった。LCCO2排出量の増加は著しく,両過程ともその地域差が大きい。特に,居住過程でのCO2排出量の古める割合は大きく,気候との関連が強い。また,全国的には増加要因として照明コンセント等の電力消費による影響が大きい。全国の建設過程でのCO2排出量は,非木造からの排出が近年半分を超え,建替による排出が新規建築による排出を上回る地域が多くなっている。現在,住宅市場は低迷状況にあり,このことが住宅の建設過程でのCO2排出量を減少させているものの,そのことが住宅のLCCO2全体を減少させるには至っていない。その他各地域において住宅分野における今後の温暖化防止対策を検討する上で,必要となる基礎情報が整備された。 |
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ISSN: | 0916-1864 2423-9879 |
DOI: | 10.20803/jusokennen.25.0_235 |