臨床 総肺静脈環流異常症(TAPVR)再手術症例の検討 根治術後PVOを中心として
教室では,1965年より21例の総肺静脈還流異常症(TAPVR)を経験し,13例の手術生存例が得られ,そのうち3例に対して,遠隔期に再手術を経験し,2例を救命しえた. 再手術症例の内訳は,PVO(pulmonary venous obstruction)2例,SVCO(superior vena cava obstruction)1例であり,PVOの原因は,共通肺静脈開口部の狭窄,glutaraldehyde処理豚心膜の肥厚による右PVLA吻合部の閉塞であった.また,SVCOの原因は,SVC拡大に用いた自家心膜ゐ収縮であった.TAPVR根治術後の経過は,遠隔死亡の原因はPVOによることが多く,...
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Published in | 心臓 Vol. 14; no. 7; pp. 878 - 886 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
25.07.1982
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.14.7_878 |
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Summary: | 教室では,1965年より21例の総肺静脈還流異常症(TAPVR)を経験し,13例の手術生存例が得られ,そのうち3例に対して,遠隔期に再手術を経験し,2例を救命しえた. 再手術症例の内訳は,PVO(pulmonary venous obstruction)2例,SVCO(superior vena cava obstruction)1例であり,PVOの原因は,共通肺静脈開口部の狭窄,glutaraldehyde処理豚心膜の肥厚による右PVLA吻合部の閉塞であった.また,SVCOの原因は,SVC拡大に用いた自家心膜ゐ収縮であった.TAPVR根治術後の経過は,遠隔死亡の原因はPVOによることが多く,PVOの存在しない症例については,良好な経過をとると考えられ,PVOは,本症の遠隔期に最も留意すべき合併症と考えられる.今回,TAPVR根治術後に発生したPVOを中心として,自験例に,若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.14.7_878 |