会社員における過剰適応に関する研究(2) 過剰適応傾向とストレス関連個人特性が過剰適応状態に及ぼす影響過程

過剰適応は職場といった外的環境へ過度に適応した状態であり,上司や同僚から仲間外れにされないようにするために過剰労働に陥る危険性がある。これまで過剰適応は個人特性の観点から検討されてきたが,外的環境へ過度に適応した状態でもあることから,過剰適応の傾向と状態に分けた検討が必要である。本研究は,過剰適応を傾向と状態に分けて測定し,過剰適応傾向やストレス関連個人特性が過剰適応状態やストレス反応に及ぼす影響過程を検討することを目的とした。調査は会社員759名を対象として実施した。その結果,過剰適応傾向が過剰適応状態やストレス反応を高めるとともに職務満足を低下させること,また承認欲求が過剰適応状態を直接高...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 10 - 17
Main Authors 岩永, 誠, 大山, 真貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 28.04.2023
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Summary:過剰適応は職場といった外的環境へ過度に適応した状態であり,上司や同僚から仲間外れにされないようにするために過剰労働に陥る危険性がある。これまで過剰適応は個人特性の観点から検討されてきたが,外的環境へ過度に適応した状態でもあることから,過剰適応の傾向と状態に分けた検討が必要である。本研究は,過剰適応を傾向と状態に分けて測定し,過剰適応傾向やストレス関連個人特性が過剰適応状態やストレス反応に及ぼす影響過程を検討することを目的とした。調査は会社員759名を対象として実施した。その結果,過剰適応傾向が過剰適応状態やストレス反応を高めるとともに職務満足を低下させること,また承認欲求が過剰適応状態を直接高めるとともに,過剰適応傾向を媒介して過剰適応状態を高めることがわかった。一方,タイプA行動はストレス反応のみを高めることがわかった。労働負荷は直接的,かつストレス関連個人特性を媒介して間接的に過剰適応状態やストレス反応を高めることがわかった。過剰適応状態とストレス反応では影響過程に違いのあることが明らかになった。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.32.1_10