松本歯科大学病院矯正歯科における過去20年間(1995年~2014年)の口唇裂・口蓋裂患者に関する実態調査 前半10年と後半10年の比較
松本歯科大学病院矯正歯科を受診した口唇裂・口蓋裂患者の受診時年齢,不正咬合等の変化を把握するため,1995年4月~2005年3月(以下:前半)に来院した183名と2005年4月~2015年3月(以下:後半)に来院した149名を対象に臨床統計学的調査を行い検討した。 1)当科初診の口唇裂・口蓋裂患者は,前半では183名,後半では149名で,減少傾向を示した。 2)裂型別度数分布は,前半では片側性唇顎口蓋裂が最も多く87名(47.5%),次いで口蓋裂が33名(18.0%),両側性唇顎口蓋裂が33名(18.0%)であった。後半でも片側性唇顎口蓋裂が最も多く65名(44.3%),次いで口蓋裂が32名(...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 19 - 26 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
25.04.2017
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate.42.19 |
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Summary: | 松本歯科大学病院矯正歯科を受診した口唇裂・口蓋裂患者の受診時年齢,不正咬合等の変化を把握するため,1995年4月~2005年3月(以下:前半)に来院した183名と2005年4月~2015年3月(以下:後半)に来院した149名を対象に臨床統計学的調査を行い検討した。 1)当科初診の口唇裂・口蓋裂患者は,前半では183名,後半では149名で,減少傾向を示した。 2)裂型別度数分布は,前半では片側性唇顎口蓋裂が最も多く87名(47.5%),次いで口蓋裂が33名(18.0%),両側性唇顎口蓋裂が33名(18.0%)であった。後半でも片側性唇顎口蓋裂が最も多く65名(44.3%),次いで口蓋裂が32名(21.0%),両側性唇顎口蓋裂が25名(16.8%)で,唇顎口蓋裂と口蓋裂の割合が高かった。 3)初診時平均年齢は,前半では8歳6ヶ月,後半では6歳6ヶ月で,低年齢化がみられた。 4)紹介元医療機関は,前半では信州大学医学部付属病院形成外科が最も多く92名(50.3%),次いで長野県立こども病院形成外科が28名(15.3%)の順で,後半では,長野県立こども病院が最も多く73名(49.0%),次いで信州大学医学部付属病院形成外が49名(32.9%)で,両病院からの紹介が多かった。 5)居住地分布は,前半では松本地区が60名(36.1%)と最も多く,次いで諏訪地区が31名(16.9%)と続き,後半でも松本地区が68名(45.6%)と最も多く,次いで諏訪地区が34名(22.8%)の順で,前半,後半ともに当院のある長野県中部からの来院が多かった。 6)交叉咬合を有する割合は,前半では歯列弓全体が交叉咬合を示すType2が最も多く63名(34.4%),次いで前歯部および片側の側方歯群に交叉咬合を示すType3が36名(19.7%),前歯部のみが交叉咬合を示すType4が34名(18.6%)の順であった。後半では,Type4が最も多く58名(38.9%),次いでType1が41名(27.5%),Type2は21名(14.1%)の順で,近年,歯列弓全体の交叉咬合が減少し,前歯部のみの交叉咬合が増加していた。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate.42.19 |