症例 心タンポナーデ症例の検討 特に剣状突起下心膜開窓術について

救急手術を行った心タンポナーデ18例の原因は,癌転移11例,特発性心膜炎4例,その他3例である.主訴は呼吸困難であることが多い.胸部X線所見では心陰影全体または左縁のみが,水を満した氷嚢を机に置いた形を呈する例が多い.心電図で低電位,T平低がみられるのは約半数であった.心エコー図ではecho-free spaceが1cm以上の例は平均850ml,1cm以下の例は平均557mlの心膜液貯留を認めた.CT値は癌性心膜炎で9-40,特発性心膜炎で20-22を示した.心タンポナーデに対してはまず心膜穿刺が行われるが,排液不十分の例,穿刺後再発する例は,局所麻酔による剣状突起下心膜開窓術を行う.手術侵襲...

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Published in心臓 Vol. 16; no. 5; pp. 504 - 511
Main Authors 小出, 司郎策, 川田, 志明, 井上, 宏司, 小川, 純一, 福田, 崇典, 稲村, 俊一, 正津, 晃, 星合, 充基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 25.05.1984
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Summary:救急手術を行った心タンポナーデ18例の原因は,癌転移11例,特発性心膜炎4例,その他3例である.主訴は呼吸困難であることが多い.胸部X線所見では心陰影全体または左縁のみが,水を満した氷嚢を机に置いた形を呈する例が多い.心電図で低電位,T平低がみられるのは約半数であった.心エコー図ではecho-free spaceが1cm以上の例は平均850ml,1cm以下の例は平均557mlの心膜液貯留を認めた.CT値は癌性心膜炎で9-40,特発性心膜炎で20-22を示した.心タンポナーデに対してはまず心膜穿刺が行われるが,排液不十分の例,穿刺後再発する例は,局所麻酔による剣状突起下心膜開窓術を行う.手術侵襲が少なく,手術効果は大きい.癌転移の場合にも延命効果を認める.われわれは2×2cmの心膜切除を行ったが,癌性心膜炎の2例で再貯留を認めたので,今後は4×4cmの切除にしたいと考えている.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.16.5_504