研究会 第25回 理論心電図研究会 第2テーマ:GTをめぐる諸問題 Romano-Ward症候群における心室再分極異常の成因 I123MIBG心筋シンチおよび体表面心臓電位図を用いての検討

T波の異常は左右交感神経作用のアンバランスが主因とする考え方がある.これを心室レベルで直接検証するため,本症を有する24歳女性例に体表面電位図,および心室における局所的な交感神経機能の評価が可能とされているI123 metaiodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラムを施行した.安静時には心電図上顕著なQT延長(QTcO.61)を認めたが,QRSおよびT波の等電位マツプおよびQRSTisoareaマップは共に正常範囲で,MIBGの左室内分布もほぼ均一であった.一方運動負荷後には,QT延長が存続する一方で側胸部を除く広い範囲でT波の逆転ときにT波の交代現象が出現し,MIBG...

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Published in心臓 Vol. 23; no. 4; pp. 450 - 454
Main Authors 傅, 隆泰, 高田, 正則, 田中, 健, 加藤, 和三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.1991
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.23.4_450

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Summary:T波の異常は左右交感神経作用のアンバランスが主因とする考え方がある.これを心室レベルで直接検証するため,本症を有する24歳女性例に体表面電位図,および心室における局所的な交感神経機能の評価が可能とされているI123 metaiodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラムを施行した.安静時には心電図上顕著なQT延長(QTcO.61)を認めたが,QRSおよびT波の等電位マツプおよびQRSTisoareaマップは共に正常範囲で,MIBGの左室内分布もほぼ均一であった.一方運動負荷後には,QT延長が存続する一方で側胸部を除く広い範囲でT波の逆転ときにT波の交代現象が出現し,MIBG分布も不均一化した.以上から本例のQT延長は左右交感神経作用のアンバランスに起因する可能性は少なく,むしろ心内各部での再分極過程が一定の生理学的較差を保ちながらほぼ均一に延長していることを反映する所見であると考えられる.ただし負荷時のT変化については交感神経作用の不均一化が関与する可能性もある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.23.4_450