長期経管栄養施行中の重症心身障害児(者)の腸内菌叢および糞便性状の検討

重症心身障害児(者)では,脳性麻痺などの基礎疾患により,胸郭の変形,過度の筋緊張亢進,腸管蠕動運動機能低下から,排便困難となり慢性的な便秘状態を呈することが多い.今回,長期に濃厚流動食品で栄養管理されている重症心身障害者12症例(男性5名,女性7名,平均年齢35.8歳)の糞便菌叢を検索し,Mitsuoka and Hayakawa(1972)の健常成人の成績と比較検討したところ,総菌数をはじめClostridium-othersおよび酵母を除くすべての菌群の菌数が低く,LactobacillusおよびL(+)Clostridium(Clostridium perfringens)は総ての患者で...

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Published in腸内細菌学雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 大森, 啓充, 児玉, 浩子, 山﨑, 雅美, 村田, 芳夫, 福場, 浩正, 松本, 信夫, 市川, 麻紀子, 竹本, 将彦, 池田, 政宣, 原田, 暁, 住元, 了, 難波, 希三子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 腸内細菌学会 2013
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Summary:重症心身障害児(者)では,脳性麻痺などの基礎疾患により,胸郭の変形,過度の筋緊張亢進,腸管蠕動運動機能低下から,排便困難となり慢性的な便秘状態を呈することが多い.今回,長期に濃厚流動食品で栄養管理されている重症心身障害者12症例(男性5名,女性7名,平均年齢35.8歳)の糞便菌叢を検索し,Mitsuoka and Hayakawa(1972)の健常成人の成績と比較検討したところ,総菌数をはじめClostridium-othersおよび酵母を除くすべての菌群の菌数が低く,LactobacillusおよびL(+)Clostridium(Clostridium perfringens)は総ての患者で全く検出されなかった.一方,糞便形状は,多くの重症心身障害者で,泥状便・軟便傾向であり,糞便pHはアルカリ性の傾向を示した.また,栄養剤の成分にラクチュロース,オリゴ糖を含む濃厚流動食品を摂取していた症例では,非摂取例と比べ,総菌数ならびにBacterodaceaeの占有率は変わらなかったが,Bifidobacteriumの占有率が有意に高かった(p<0.05).
ISSN:1343-0882
1349-8363
DOI:10.11209/jim.27.1