症例 部分肺静脈還流異常に下大静脈欠損・奇静脈接続を合併した1例 Dynamic CTとDSAによる検討

下大静脈欠損・奇静脈または半奇静脈接続はまれな先天奇形であり,通常は合併心奇形の精査中に発見される.今回我々は,無症状にて胸部X線異常陰影を指摘され,精査の結果本症と診断し得たので報告する.症例は43歳女性.胸部単純X線にて右肺門上部に突出する異常陰影を指摘され来院した.聴診上心雑音なく,心電図,心エコー図は正常であった.異常陰影レベルの胸部CTにて大動脈弓の右側に上大静脈に連なる異常血管を認め,本症を疑った.Dynamic CTおよびDSA(digital subtraction angiography)による血管造影検査を施行し,部分肺静脈還流異常に下大静脈欠損・奇静脈接続を合併し,心房中...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 22; no. 4; pp. 403 - 407
Main Authors 大宮, 一人, 八田, 聡子, 武山, 博之, 杉浦, 清了, 田宮, 栄治, 羽田, 勝征, 上杉, 昌秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.1990
Subjects
digitalsubtractionangiography
dynamicCT
下大静脈欠損症
心房中隔欠損
部分肺静脈還流異常
Online AccessGet full text

Cover

More Information
Summary:下大静脈欠損・奇静脈または半奇静脈接続はまれな先天奇形であり,通常は合併心奇形の精査中に発見される.今回我々は,無症状にて胸部X線異常陰影を指摘され,精査の結果本症と診断し得たので報告する.症例は43歳女性.胸部単純X線にて右肺門上部に突出する異常陰影を指摘され来院した.聴診上心雑音なく,心電図,心エコー図は正常であった.異常陰影レベルの胸部CTにて大動脈弓の右側に上大静脈に連なる異常血管を認め,本症を疑った.Dynamic CTおよびDSA(digital subtraction angiography)による血管造影検査を施行し,部分肺静脈還流異常に下大静脈欠損・奇静脈接続を合併し,心房中隔欠損を伴わない極めてまれな症例と診断した.本症におけるdynamic CTおよびDSAの有用性につき考察した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.22.4_403