症例 左房を占拠する巨大球状腫瘤の2症例 左房粘液腫と有茎球状血栓の鑑別

症例1は84歳,女性.78歳時に心エコー法で左房内腫瘤が検出され,82歳時に心不全で入院.左房径は58mmで心房中隔に茎をもつ65×45mmの球状腫瘤が観察された.手術を希望しないため内科治療で経過をみていたが,83歳時に脳梗塞再発作あり,1992年10月死亡.剖検では拡張した左房内に60×50×50mmの平滑で硬い黄白色の球状腫瘍,粘液腫が確認された.症例2は60歳,女性.58歳時に心エコー法で左房径60mm,僧帽弁口面積2.0cm2と軽症僧帽弁狭窄症で,左房後壁に茎をもつ65×55mmの表面不整な球状腫瘤あり.MRIでは腫瘤の層状構造がみられた.1993年4月摘出術,94gの赤色血栓であっ...

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Published in心臓 Vol. 27; no. 9; pp. 837 - 842
Main Authors 吉田, 知永, 河住, 茂, 早川, 弘一, 二宮, 淳一, 筒井, 仁, 桑名, 壮太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.1995
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.27.9_837

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Summary:症例1は84歳,女性.78歳時に心エコー法で左房内腫瘤が検出され,82歳時に心不全で入院.左房径は58mmで心房中隔に茎をもつ65×45mmの球状腫瘤が観察された.手術を希望しないため内科治療で経過をみていたが,83歳時に脳梗塞再発作あり,1992年10月死亡.剖検では拡張した左房内に60×50×50mmの平滑で硬い黄白色の球状腫瘍,粘液腫が確認された.症例2は60歳,女性.58歳時に心エコー法で左房径60mm,僧帽弁口面積2.0cm2と軽症僧帽弁狭窄症で,左房後壁に茎をもつ65×55mmの表面不整な球状腫瘤あり.MRIでは腫瘤の層状構造がみられた.1993年4月摘出術,94gの赤色血栓であった.術後は抗凝固療法を行い経過良好.2例とも心エコー法で動きが少なく,酷似した左房内巨大腫瘤として発見されたが,左房粘液腫と有茎球状血栓を鑑別する上で有用な2例と思われ報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.27.9_837