Meckel憩室による絞扼性イレウスの1例

症例は開腹既往のない29歳,男性.腹痛を主訴に救急車で搬送された.腹部全体に及ぶ疼痛を訴え,下腹部を中心に筋性防御を認めた.血液検査では白血球が9,560/μlと若干上昇しており, CPKが433IU/lと上昇していた.腹部CT検査では小腸の拡張とniveauを認めたが原因の特定には至らず絞扼性イレウスの診断で開腹した.回腸末端から口側60cmの回腸にMeckel憩室を認め,その先端には古い炎症によると思われる癒着を腸間膜との間に生じていた.この中に回腸が入り込み,絞扼性イレウスをきたしていた. Meckel憩室は極度に伸展され,暗赤色に変色していた.回腸には鬱血を認めたが癒着を剥離してイレウ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 2674 - 2677
Main Authors 唐澤, 幸彦, 美濃, 睦水
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2004
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Summary:症例は開腹既往のない29歳,男性.腹痛を主訴に救急車で搬送された.腹部全体に及ぶ疼痛を訴え,下腹部を中心に筋性防御を認めた.血液検査では白血球が9,560/μlと若干上昇しており, CPKが433IU/lと上昇していた.腹部CT検査では小腸の拡張とniveauを認めたが原因の特定には至らず絞扼性イレウスの診断で開腹した.回腸末端から口側60cmの回腸にMeckel憩室を認め,その先端には古い炎症によると思われる癒着を腸間膜との間に生じていた.この中に回腸が入り込み,絞扼性イレウスをきたしていた. Meckel憩室は極度に伸展され,暗赤色に変色していた.回腸には鬱血を認めたが癒着を剥離してイレウスを解除したところ色調が改善したため憩室のみを切除して手術を終了した.憩室先端の炎症性癒着が原因となった絞扼性イレウスはMeckel憩室による腸閉塞のうち16%とされており比較的稀であるが,開腹既往のない症例では本症も考慮に入れた診断,治療が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2674