石灰乳胆汁により閉塞性黄疸をきたした1例

症例は50歳,男性. 30歳代より無症候性胆石を指摘されていた.食後に上腹部痛を自覚,近医で黄疸および肝機能障害を指摘され当科紹介受診.腹部単純X線検査,腹部CT検査で胆道造影様の陰影を認め総胆管内に流出した石灰乳胆汁と診断した. ERC検査で総胆管結石は指摘できなかったが入院後も黄疸は進行した.胆石を合併した胆嚢内および総胆管内石灰乳胆汁による閉塞性黄疸の診断で,開腹による胆嚢摘出術および総胆管切開術を施行した.総胆管内および十二指腸内のファーター乳頭部周囲に白色微細顆粒状の胆泥を認めるも結石は認めなかった.切除標本では胆嚢底部に白色JSD顆粒塊の付着を認め,ほぼ同様の性状と思われるもろい結...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 12; pp. 3034 - 3038
Main Authors 牧野, 成人, 海部, 勉, 大竹, 雅広, 須田, 武保, 本間, 英之, 畠山, 勝義
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.12.2005
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Summary:症例は50歳,男性. 30歳代より無症候性胆石を指摘されていた.食後に上腹部痛を自覚,近医で黄疸および肝機能障害を指摘され当科紹介受診.腹部単純X線検査,腹部CT検査で胆道造影様の陰影を認め総胆管内に流出した石灰乳胆汁と診断した. ERC検査で総胆管結石は指摘できなかったが入院後も黄疸は進行した.胆石を合併した胆嚢内および総胆管内石灰乳胆汁による閉塞性黄疸の診断で,開腹による胆嚢摘出術および総胆管切開術を施行した.総胆管内および十二指腸内のファーター乳頭部周囲に白色微細顆粒状の胆泥を認めるも結石は認めなかった.切除標本では胆嚢底部に白色JSD顆粒塊の付着を認め,ほぼ同様の性状と思われるもろい結石を胆嚢内に認めた.術後経過は良好であったが,黄疸は約1カ月遷延した.総胆管結石を伴わずに総胆管内に流出した石灰乳胆汁が原因となり閉塞性黄疸をきたした稀な症状と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.3034