良性葉状腫瘍に非浸潤性乳管癌を合併した1例

乳腺葉状腫瘍に乳癌が合併する症例は極めて稀である.われわれは良性葉状腫瘍に近接して非浸潤性乳管癌を合併した1例を経験した.患者は47歳の閉経前女性で,左乳房D領域に4×3cm大の腫瘤に気付き,摘出術を受けた.病理組織学的検査にて上記と判明したため根治術を目的として胸筋温存乳房切除術を施行した.両腫瘍のER, PgRはともに陰性であった. 本邦における両腫瘍の同時合併例は文献上20例に過ぎない.同側性15例,対側性5例で患者の平均年齢は48.2歳であった.葉状腫瘍は良性7例,悪性10例,境界型3例であった. 乳癌の組織型では非浸潤癌が8例(40.0%)と乳癌全体での割合よりかなり多い.乳頭腺管癌...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 11; pp. 2640 - 2643
Main Authors 千木良, 晴ひこ, 松尾, 康治, 柴田, 佳久, 加藤, 岳人, 鈴木, 正臣, 尾上, 重巳
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2640

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Summary:乳腺葉状腫瘍に乳癌が合併する症例は極めて稀である.われわれは良性葉状腫瘍に近接して非浸潤性乳管癌を合併した1例を経験した.患者は47歳の閉経前女性で,左乳房D領域に4×3cm大の腫瘤に気付き,摘出術を受けた.病理組織学的検査にて上記と判明したため根治術を目的として胸筋温存乳房切除術を施行した.両腫瘍のER, PgRはともに陰性であった. 本邦における両腫瘍の同時合併例は文献上20例に過ぎない.同側性15例,対側性5例で患者の平均年齢は48.2歳であった.葉状腫瘍は良性7例,悪性10例,境界型3例であった. 乳癌の組織型では非浸潤癌が8例(40.0%)と乳癌全体での割合よりかなり多い.乳頭腺管癌,管状癌は8例(40.0%)である.非浸潤癌とあわせると16例(80%)に及び,合併乳癌は分化度が高いものが多かった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2640