胆管内腫瘍栓を認めた直腸癌肝転移の1例

症例は73歳男性, 1994年5月,直腸癌(Rs)穿孔による腹膜炎に対し緊急にてHart-mann手術を施行.術後経過は良好で他院にて通院加療を受けていたが, 1998年11月になりCEA, CA19-9の上昇を指摘され,精査目的にて12月当院紹介入院となった.腹部CTおよび超音波検査上肝S6に径約5cmの腫瘤を認め,腫瘤周囲の肝内胆管は限局性に拡張していた.腫瘤は辺縁不整,内部不均一に描出され石灰化を伴っていた.また造影CTでは周囲のみ造影効果を認めた. MRIで腫瘤はT1で低信号, T2で不整な高信号を呈し, MRCPではB6胆管末梢枝の拡張が認められた.胆管内進展を伴った直腸癌肝転移と診...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 11; pp. 2738 - 2743
Main Authors 岡村, 一則, 濱田, 賢司, 勝田, 浩司, 高橋, 宏明, 久瀬, 雅也, 小坂, 篤
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2738

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Summary:症例は73歳男性, 1994年5月,直腸癌(Rs)穿孔による腹膜炎に対し緊急にてHart-mann手術を施行.術後経過は良好で他院にて通院加療を受けていたが, 1998年11月になりCEA, CA19-9の上昇を指摘され,精査目的にて12月当院紹介入院となった.腹部CTおよび超音波検査上肝S6に径約5cmの腫瘤を認め,腫瘤周囲の肝内胆管は限局性に拡張していた.腫瘤は辺縁不整,内部不均一に描出され石灰化を伴っていた.また造影CTでは周囲のみ造影効果を認めた. MRIで腫瘤はT1で低信号, T2で不整な高信号を呈し, MRCPではB6胆管末梢枝の拡張が認められた.胆管内進展を伴った直腸癌肝転移と診断し, S6亜区域切除を施行. B6胆管枝を切開すると胆管内腫瘍栓を認めたため,これを可及的に除去した.摘出標本で腫瘍は6.0×4.0cmでB6胆管枝に直接浸潤し腫瘍栓を形成していた.組織学的には高分化型腺癌であり,前回の直腸癌の組織像と類似しており,直腸癌肝転移と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2738