回腸と瘻孔を形成した直腸癌の1例

症例は既往歴に盲腸癌による右半結腸切除術を受けている73歳女性で,下痢と体重減少を主訴に来院した.下部消化管造影にて直腸Rsに全周性の約15cm大の直腸癌を認め,回腸末端より50cmの回腸と瘻孔を形成していた.上腹部CT検査では多発性の肝転移を認めた.開腹所見ではNo.253リンパ節転移,膀胱浸潤も認め,低位前方切除術,小腸部分切除術,膀胱部分切除術を行った.腫瘍は5cm×10cm×13cm, 中分化型腺癌であった.術後29日目に退院したが,肝転移の進行により術後50日目に黄疸,腹水貯留にて入院.術後65日目に肝不全にて死亡した.大腸癌が消化管内瘻を形成することは稀な病態であり,さらに回腸と瘻...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 10; pp. 2484 - 2488
Main Authors 松本, 隆利, 佐藤, 太一郎, 小林, 一郎, 石黒, 成治, 森浦, 滋明, 田畑, 智丈
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2484

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Summary:症例は既往歴に盲腸癌による右半結腸切除術を受けている73歳女性で,下痢と体重減少を主訴に来院した.下部消化管造影にて直腸Rsに全周性の約15cm大の直腸癌を認め,回腸末端より50cmの回腸と瘻孔を形成していた.上腹部CT検査では多発性の肝転移を認めた.開腹所見ではNo.253リンパ節転移,膀胱浸潤も認め,低位前方切除術,小腸部分切除術,膀胱部分切除術を行った.腫瘍は5cm×10cm×13cm, 中分化型腺癌であった.術後29日目に退院したが,肝転移の進行により術後50日目に黄疸,腹水貯留にて入院.術後65日目に肝不全にて死亡した.大腸癌が消化管内瘻を形成することは稀な病態であり,さらに回腸と瘻孔を形成した報告例は過去8例のみであった.消化管内瘻形成大腸癌につき文献的考察をふまえ報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2484