右外腸骨静脈の腫瘍性狭窄に対しmetallic stent挿入が有効であった1例

右外腸骨静脈の腫瘍性狭窄に対し,ステント挿入が有効であった症例を経験した.症例は59歳,女性.右下肢の著明な浮腫を主訴に当科を受診.下肢の重苦感強く, 15分程度の歩行も困難であった.血管造影では右外腸骨静脈は約45mmにわたり狭窄を示し,最大狭窄部では約80%の狭窄を示していた.腹部CT検査では,右の水腎症と右骨盤腔に3cm大の腫瘍を認めた. 7年前に他院にて子宮癌および卵巣腫瘍の手術既往があり,再発を疑い開腹手術を施行した.術中所見では,腫瘍が右外腸骨静脈に強固に癒着しており剥離困難なため,バイパスは困難と判断し,術後早期のステント留置を決定した.右外腸骨静脈内をballoonにて拡張後,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 12; pp. 2892 - 2895
Main Authors 松本, 春美, 宮崎, 治, 鹿島, 健, 高木, 睦郎, 安井, 誠一, 村上, 修
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2001
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Summary:右外腸骨静脈の腫瘍性狭窄に対し,ステント挿入が有効であった症例を経験した.症例は59歳,女性.右下肢の著明な浮腫を主訴に当科を受診.下肢の重苦感強く, 15分程度の歩行も困難であった.血管造影では右外腸骨静脈は約45mmにわたり狭窄を示し,最大狭窄部では約80%の狭窄を示していた.腹部CT検査では,右の水腎症と右骨盤腔に3cm大の腫瘍を認めた. 7年前に他院にて子宮癌および卵巣腫瘍の手術既往があり,再発を疑い開腹手術を施行した.術中所見では,腫瘍が右外腸骨静脈に強固に癒着しており剥離困難なため,バイパスは困難と判断し,術後早期のステント留置を決定した.右外腸骨静脈内をballoonにて拡張後, expandable stentを留置した.施行後,内腔は1cmに拡大し,下腿周囲長および臨床症状の著明な改善が得られた.ステント挿入はバイパス不能例に対しても有効な手段であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2892