1.炎症性サイトカインのミトコンドリア機能への関与と 臓器保護戦略

「はじめに」ミトコンドリアは, 細胞内でのエネルギー代謝において主要な役割を担っている. 近年, 手術や外傷などによる高い侵襲や敗血症がもたらす病態にミトコンドリア機能の変化が影響を与える可能性が示唆されている. 以前より, 心血管疾患の発症においては腎疾患が大きなリスク因子として知られており, 心腎関連とよばれる概念が考えられてきた. その機序は明らかではないが, 腎障害の治療は心保護においても重要であると考えられる. 現在までに, 急性腎障害に対し, 臨床上明らかに腎保護作用を示す薬物は示されていないが, β1受容体遮断薬であるランジオロールやα2受容体作動薬であるデクスメデトミジンについ...

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Published in循環制御 Vol. 40; no. 3; pp. 154 - 156
Main Author 森山, 孝宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 20.12.2019
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ISSN0389-1844

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Summary:「はじめに」ミトコンドリアは, 細胞内でのエネルギー代謝において主要な役割を担っている. 近年, 手術や外傷などによる高い侵襲や敗血症がもたらす病態にミトコンドリア機能の変化が影響を与える可能性が示唆されている. 以前より, 心血管疾患の発症においては腎疾患が大きなリスク因子として知られており, 心腎関連とよばれる概念が考えられてきた. その機序は明らかではないが, 腎障害の治療は心保護においても重要であると考えられる. 現在までに, 急性腎障害に対し, 臨床上明らかに腎保護作用を示す薬物は示されていないが, β1受容体遮断薬であるランジオロールやα2受容体作動薬であるデクスメデトミジンについては心臓や腎臓において保護作用を発揮したという報告が散見される. 今回のシンポジウムでは, 炎症性サイトカインがミトコンドリア機能に与える影響について, さらに, ランジオロールやデクスメデトミジンが細胞代謝に与える影響について我々が行った検討について述べる.
ISSN:0389-1844