眼外傷の治療 とくに眼窩壁骨折の治療について

眼窩壁骨折について、その病態、診断を含め治療、予後などを話した。 眼窩壁骨折の病態は年齢により差がみられる。小児では線状骨折あるいははね上げ戸タイプが多く、とくに後者では、外眼筋が骨折部に強く拘扼され強い眼球運動制限を認め、緊急手術の適応と考えられる例が少なくない。それに反して成人では吹き抜けタイプが多く、眼球運動制限はあっても比較的軽度である反面、眼球陥凹を来すことが多い。さらに成人では手術時期が多少遅れても症状の改善が期待できることが多い。従って、本症の治療すなわち手術の要否の判断には、骨折の形状および骨折部における外眼筋の状態の把握が必要であり、CT検査は不可欠である。それと同時に眼球運...

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Bibliographic Details
Published inJapanese orthoptic journal Vol. 27; pp. 1 - 6
Main Author 八子, 恵子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 25.07.1999
Subjects
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.27.1

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Summary:眼窩壁骨折について、その病態、診断を含め治療、予後などを話した。 眼窩壁骨折の病態は年齢により差がみられる。小児では線状骨折あるいははね上げ戸タイプが多く、とくに後者では、外眼筋が骨折部に強く拘扼され強い眼球運動制限を認め、緊急手術の適応と考えられる例が少なくない。それに反して成人では吹き抜けタイプが多く、眼球運動制限はあっても比較的軽度である反面、眼球陥凹を来すことが多い。さらに成人では手術時期が多少遅れても症状の改善が期待できることが多い。従って、本症の治療すなわち手術の要否の判断には、骨折の形状および骨折部における外眼筋の状態の把握が必要であり、CT検査は不可欠である。それと同時に眼球運動制限の方向および程度をはじめとする臨床所見、Hess赤緑試験などが本症の治療ならびに経過観察には極めて重要であることを強調した。一方、治療的意味合いでのforced traction testは患者にとって苦痛であっても効果はない。 具体的治療法として、筆者が行っている手術法を紹介した。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.27.1