非特異性直腸潰瘍の1例-いわゆる“分類困難な直腸潰瘍”

症例は73歳,男性.既往歴は特にない.平成11年1月6日,下血を主訴に当院受診.食欲,排便は良好,直腸診にて腫瘤を触知しなかった.内視鏡検査にて肛門縁より約6cmの中部直腸に,滲出性出血のある3分の1周性の潰瘍性病変を認めたが,病理組織学的に悪性所見はみられなかった.保存的治療では緩解しないため, 2月19日に直腸切除術を施行した.摘出標本の直腸潰瘍は肉眼的に潰瘍底2cmほどの不整形で,組織学的に悪性所見はなく, Crohn病や潰瘍性大腸炎に特徴的な所見はみられなかった.本例は感染性疾患はなく,またBehcet病の所見もなく,非特異性直腸潰瘍と診断した.しかし疾患単位としては,急性出血性直腸潰...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 12; pp. 3295 - 3298
Main Authors 館花, 明彦, 福田, 直人, 永山, 淳造, 山川, 達郎, 秋山, 竹松, 酒井, 滋
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.12.2000
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Summary:症例は73歳,男性.既往歴は特にない.平成11年1月6日,下血を主訴に当院受診.食欲,排便は良好,直腸診にて腫瘤を触知しなかった.内視鏡検査にて肛門縁より約6cmの中部直腸に,滲出性出血のある3分の1周性の潰瘍性病変を認めたが,病理組織学的に悪性所見はみられなかった.保存的治療では緩解しないため, 2月19日に直腸切除術を施行した.摘出標本の直腸潰瘍は肉眼的に潰瘍底2cmほどの不整形で,組織学的に悪性所見はなく, Crohn病や潰瘍性大腸炎に特徴的な所見はみられなかった.本例は感染性疾患はなく,またBehcet病の所見もなく,非特異性直腸潰瘍と診断した.しかし疾患単位としては,急性出血性直腸潰瘍,宿便性潰瘍,直腸粘膜脱症候群などにあてはめられず,いわゆる“分類困難な潰瘍”と診断された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.3295