研究 急性心筋梗塞におけるショックの対策 特にその発症時期と臨床背景の検討
急性心筋梗塞の死亡は最近減少したが,早期収容例のポンプ不全の死亡率は依然高値にあり,さらに低下させる必要がある.本研究では急性心筋梗塞によるショックの臨床背景とその発症因子を調べ,死亡率低下の方策を得るため,急性心筋梗塞458例を対象とし,収容時ショック52例,収容後ショック発症19例,非ショック387例の3群に分類,検討した.収容時ショック群は高齢,最大CK値高値,心血行動態・腎機能異常を示し,致死的不整脈合併率が高く,死亡率50%であった.一方,収容後ショック発症群は再梗塞率と最大CK値(再梗塞後も含めた値)高値,死亡率47.4%を示した.収容後ショック発症頻度は4.7%,24時間以内発症...
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Published in | 心臓 Vol. 27; no. 1; pp. 12 - 22 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.01.1995
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.27.1_12 |
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Summary: | 急性心筋梗塞の死亡は最近減少したが,早期収容例のポンプ不全の死亡率は依然高値にあり,さらに低下させる必要がある.本研究では急性心筋梗塞によるショックの臨床背景とその発症因子を調べ,死亡率低下の方策を得るため,急性心筋梗塞458例を対象とし,収容時ショック52例,収容後ショック発症19例,非ショック387例の3群に分類,検討した.収容時ショック群は高齢,最大CK値高値,心血行動態・腎機能異常を示し,致死的不整脈合併率が高く,死亡率50%であった.一方,収容後ショック発症群は再梗塞率と最大CK値(再梗塞後も含めた値)高値,死亡率47.4%を示した.収容後ショック発症頻度は4.7%,24時間以内発症が68.4%,うち再梗塞型群は3.2±1.9病日の発症で,ポンプ不全型群は全例が24時間以内の発症であった.ポンプ不全型群は糖尿病合併率と最大CK値高値,心機能低下があり,死亡率30%であった.また高齢者は予後不良であった.収容時ショック群で冠血行再建療法施行例の生存率は68.4%(19例中13例)で,非施行群の39.4%(33例中13例)に比べ有意の差(p<0.05)を認めた.収容後ショック群は収容直後再建療法施行が9例と少なく,生存率は施行群44.4%,非施行群60.0%であった.収容時ショックは冠動脈再建療法が有用,収容後ショック発症は再梗塞予防が重要で,両群とも心機能と腎機能異常の補正が予後を改善すると結論された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.27.1_12 |