授業設計・実施過程における教師の意思決定に関する研究 即時的意思決定カテゴリーと背景カテゴリーの観点から

本研究は,設計過程で予想しなかった反応が子どもから出た場面で,教師はどんな知識や理念をもとに意思決定しているのか,またそれら知識や理念は設計過程での意思決定とどんな関係にあるのかを明らかにすることで,熟達教師の教授知識や一連の意思決定過程の特徴をとらえようとするものである.熟達教師は,予想外の反応が出た場合でも計画とのズレを解消できないことはほとんどなかった.それは,設計過程で発問-反応の関係を予測するためのさまざまな教授知識が豊かなためであった.また,意思決定上の背景において教育実習生と熟達教師とが大きく異なるのは,教師がもつ教育観などの理念が重視されているかどうかという点であった.このよう...

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Published in日本教育工学雑誌 Vol. 16; no. 3; pp. 171 - 184
Main Authors 岡根, 裕之, 吉崎, 静夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育工学会 20.12.1992
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ISSN0385-5236
2432-6038
DOI10.15077/jmet.16.3_171

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Summary:本研究は,設計過程で予想しなかった反応が子どもから出た場面で,教師はどんな知識や理念をもとに意思決定しているのか,またそれら知識や理念は設計過程での意思決定とどんな関係にあるのかを明らかにすることで,熟達教師の教授知識や一連の意思決定過程の特徴をとらえようとするものである.熟達教師は,予想外の反応が出た場合でも計画とのズレを解消できないことはほとんどなかった.それは,設計過程で発問-反応の関係を予測するためのさまざまな教授知識が豊かなためであった.また,意思決定上の背景において教育実習生と熟達教師とが大きく異なるのは,教師がもつ教育観などの理念が重視されているかどうかという点であった.このような意思決定の仕方の違いを分析するのに,本研究で開発した「即時的意思決定カテゴリー」と「背景カテゴリー」は有効であり,さらに内的過程を把握する方法として,インタビュー法の併用が効果的であることがわかった.
ISSN:0385-5236
2432-6038
DOI:10.15077/jmet.16.3_171