補聴器装用例における語音聴取成績と自覚的評価の相関 単音節と単語検査の比較

要旨: 補聴器装用例を対象に単音節 (57-S語表, 67-S語表) と単語 (iCI-2004) を用いた語音聴取成績と自覚的評価 (きこえについての質問紙2002: 下位項目「良い条件」, 「悪い条件」) の相関関係を比較検討した。対象全体での検討に加え, 対象を語音良好群n=40, 語音不良群n=16の2群に分け比較を行った。両群の年齢と聴力レベルに差はなかった。語音良好群では「良い条件」にて67-SとiCI-2004にて有意差のある弱い相関を得た。「悪い条件」では全ての語表にて有意差はないものの67-SとiCI-2004にて弱い相関を得た。語音不良群では「良い条件」にてiCI-2004...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 68; no. 3; pp. 249 - 256
Main Authors 市原, さくら, 松田, 悠佑, 野尻, 尚, 高木, 嶺, 関根, 茉央, 田中, 佑, 東野, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.06.2025
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:要旨: 補聴器装用例を対象に単音節 (57-S語表, 67-S語表) と単語 (iCI-2004) を用いた語音聴取成績と自覚的評価 (きこえについての質問紙2002: 下位項目「良い条件」, 「悪い条件」) の相関関係を比較検討した。対象全体での検討に加え, 対象を語音良好群n=40, 語音不良群n=16の2群に分け比較を行った。両群の年齢と聴力レベルに差はなかった。語音良好群では「良い条件」にて67-SとiCI-2004にて有意差のある弱い相関を得た。「悪い条件」では全ての語表にて有意差はないものの67-SとiCI-2004にて弱い相関を得た。語音不良群では「良い条件」にてiCI-2004でのみ有意差のある中等度の相関を得た。「悪い条件」でも同様にiCI-2004でのみ有意差のある中等度の相関を得た。自覚的評価は日常生活における聞き取りの満足度を示す物であり, 日常的に用いる語音は単音節ではなく単語であることが今回得られた結果の要因であると考えられる。本邦では単音節を用いた評価が一般的に行われているが, 今回得られた結果から追加的にiCI-2004単語検査を行うことで症例の満足度に即したHA診療が可能になると思われる。ただし, 比較的語音聴取が良好な例に対しては成績の天井効果を防ぐためにも雑音を付加するなど調整が必要である。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.68.249