DOAC時代における深部静脈血栓症の治療と予防—静脈疾患サーベイ委員会Survey XXVI

直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)導入後の深部静脈血栓症(DVT)治療の現状と変化を検討するため,日本静脈学会会員を対象にアンケート調査を実施した.2024年6–8月に学会会員約1,343名へ案内し,103名から有効回答を得た.結果,内服治療の増加,外来治療へのシフト,服薬アドヒアランスの改善,および血栓消失転帰の向上が示唆され,従来のワルファリン中心の治療からDOACを用いた治療への転換が臨床現場における安全性と有効性の向上に寄与していることが明らかとなった.また,紹介元から抗凝固療法が実施されるケースの増加など,複数の診療科で抗凝固療法が行われるようになった点から,DVT治療における診療体...

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Published in静脈学 Vol. 36; no. 3; pp. 347 - 354
Main Authors 八巻 隆, 小川 智弘, 田淵 篤, 根本 寛子, 松元 崇, 廣松 伸一, 孟 真, 梅津 道久, 野村 正, 白石 恭史, 西部 俊哉, 山田 典一, 山下 侑吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 24.07.2025
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.25-06

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Summary:直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)導入後の深部静脈血栓症(DVT)治療の現状と変化を検討するため,日本静脈学会会員を対象にアンケート調査を実施した.2024年6–8月に学会会員約1,343名へ案内し,103名から有効回答を得た.結果,内服治療の増加,外来治療へのシフト,服薬アドヒアランスの改善,および血栓消失転帰の向上が示唆され,従来のワルファリン中心の治療からDOACを用いた治療への転換が臨床現場における安全性と有効性の向上に寄与していることが明らかとなった.また,紹介元から抗凝固療法が実施されるケースの増加など,複数の診療科で抗凝固療法が行われるようになった点から,DVT治療における診療体制の多様化と連携強化が進んでいることが示唆された.そのうえで,抗凝固療法以外の治療オプションの啓蒙など,新たな課題も考えられた.本調査は,DOAC導入後の治療現場の実態を示すとともに,今後の治療方針の議論の一助となることが期待される.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.25-06