漢字学習が拓く「生きること」と「学び」の接続

漢字学習とは、ふつう「 “見た通り” に書き写したり、何度も音読するように学ぶもの」と捉えられがちだ。本稿では漢字の成り立ちに立ち返り、「漢字を理屈で考え、納得して学ぶ方法」として「漢字料理」という学び方の提案、その実践について報告することを目指した。漢字は、それぞれの意味や読み方をする漢字のパーツ/部首を組み合わせて構成されているという点で、さまざまな味や歯ごたえを持つ素材を組み合わせ調理していく料理とどこか似ている。いわば、漢字がなぜこのような形をとるのか、このような読み方をするのかという “理屈” を、漢字がどのような素材/部首で構成されているのかを分解して考えていくアプローチとして提案...

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Published in総合人間学 Vol. 18; no. 2; pp. 137 - 150
Main Author 松崎 良美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 総合人間学会 2024
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ISSN2188-1243
DOI10.57385/synanthro.18.2_137

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Summary:漢字学習とは、ふつう「 “見た通り” に書き写したり、何度も音読するように学ぶもの」と捉えられがちだ。本稿では漢字の成り立ちに立ち返り、「漢字を理屈で考え、納得して学ぶ方法」として「漢字料理」という学び方の提案、その実践について報告することを目指した。漢字は、それぞれの意味や読み方をする漢字のパーツ/部首を組み合わせて構成されているという点で、さまざまな味や歯ごたえを持つ素材を組み合わせ調理していく料理とどこか似ている。いわば、漢字がなぜこのような形をとるのか、このような読み方をするのかという “理屈” を、漢字がどのような素材/部首で構成されているのかを分解して考えていくアプローチとして提案したものが「漢字料理」だ。本稿では、「漢字料理」という学び方を通じて、さまざまな属性を持つ学習者じしんが「漢字の持つ合理性」に対する “気づき” を得ていく可能性や、漢字を吟味しながら主体的・自律的に活用していくための “リテラシー” を発展・展開させていくような可能性を論じた。
ISSN:2188-1243
DOI:10.57385/synanthro.18.2_137