心臓大血管の再手術における体外循環戦略
「要旨」心臓大血管の再手術では, 胸骨再正中切開時の縦隔内臓器損傷, 癒着剥離時の出血, 縦隔内周囲組織剥離時臓器圧迫による循環動態の制御が極めて重要となる. 執刀医の判断により, 手術手技の困難性から胸骨再正中切開前に体外循環を先行させた19例(A群), 胸骨再正中切開, 癒着剥離後に体外循環を施行した20例(B群)について比較検討を行った. 体外循環時間はA群;226±83.1分, B群;150.5±84.6分(p=0.01)とA群で延長を認めた. 大動脈遮断時間はA群;100.3±63.6分, B群;128.3±61.0(p=0.2)で有意差はなかった. 体外循環先行時のFull byp...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 39; no. 1; pp. 54 - 57 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.03.2012
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Subjects | |
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 「要旨」心臓大血管の再手術では, 胸骨再正中切開時の縦隔内臓器損傷, 癒着剥離時の出血, 縦隔内周囲組織剥離時臓器圧迫による循環動態の制御が極めて重要となる. 執刀医の判断により, 手術手技の困難性から胸骨再正中切開前に体外循環を先行させた19例(A群), 胸骨再正中切開, 癒着剥離後に体外循環を施行した20例(B群)について比較検討を行った. 体外循環時間はA群;226±83.1分, B群;150.5±84.6分(p=0.01)とA群で延長を認めた. 大動脈遮断時間はA群;100.3±63.6分, B群;128.3±61.0(p=0.2)で有意差はなかった. 体外循環先行時のFull bypass達成率は18/19(94.7%)であった. 手術死亡は両群ともになく, 術後早期死亡をB群において認めた. A群は術前から手術操作の困難を予測したようにハイリスク群であり, 胸骨再正中切開前に体外循環を施行したため体外循環時間は延長した. しかし, 手術死亡はなく, 術後早期死亡をB群において認めたことから, 体外循環の先行により完全に人工心肺で循環を制御させることで, 循環不全に陥ることなく安全に手術を進行させることができたと考えられる. |
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ISSN: | 0912-2664 |