ファロー四徴症に対する自己血手術

1995年9月から1997年3月までに当院にて施行した連続22例のファロー四徴症(TF)根治術に自己血手術を企図した. 体外循環回路の低容量化に加え, 自己血回収, 限外濾過, 術中自己血貯血を導入した. 術式はTF根治単独14例(I群〉, 付随手術(末梢性肺動脈狭窄解除など)を伴うTF根治8例(II群)であった. 自己血手術達成率は全体で77%であった. II群では血小板減少による出血傾向が危惧されたが, I群と比較し自己血手術達成率やヘマトクリット(Ht)値の推移に全く差を認めず, 付随手術の有無は自己血手術達成の危険因子とは考えられなかった. また術前後の血球量の関係から術後Ht30%と...

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Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 6; pp. 544 - 548
Main Authors 栗栖和宏, 米永國宏, 宮本和幸, 古庄伸行, 西村紀久夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 10.06.1998
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ISSN1344-4964

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Summary:1995年9月から1997年3月までに当院にて施行した連続22例のファロー四徴症(TF)根治術に自己血手術を企図した. 体外循環回路の低容量化に加え, 自己血回収, 限外濾過, 術中自己血貯血を導入した. 術式はTF根治単独14例(I群〉, 付随手術(末梢性肺動脈狭窄解除など)を伴うTF根治8例(II群)であった. 自己血手術達成率は全体で77%であった. II群では血小板減少による出血傾向が危惧されたが, I群と比較し自己血手術達成率やヘマトクリット(Ht)値の推移に全く差を認めず, 付随手術の有無は自己血手術達成の危険因子とは考えられなかった. また術前後の血球量の関係から術後Ht30%となる術前Htを体重毎に算出すると, 15kgで41.0%, 10kgで42.5%, 5kgで46.9%となり, 術前に多血症を呈することの多い本症では, ほとんどの症例で自己血手術が可能と考えられた.
ISSN:1344-4964