進行大腸癌, 重症冠状動脈病変と下肢閉塞性動脈硬化症の同時合併例の手術経験

S状結腸癌, 重症冠状動脈病変, 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)同時合併例を経験した. 症例は76 歳, 男性. 主訴は労作時呼吸困難及び間欠性跛行. 狭心症・陳旧性心筋梗塞, ASOの診断にて, 冠状動脈バイパス術及び下肢血行再建術を目的として入院したが, 入院後S状結腸癌も合併していることが判明した.手術はまず先行してS状結腸切除術を, 次いで二期的に冠状動脈3枝バイパス術と両下肢への非解剖学的血行再建術の同時手術を施行した. 本症例の手術順序, 手術時の工夫などにつき文献的考察を加えて報告する. 悪性腫瘍と動脈硬化性病変の合併例に対する治療のstrategyは現在も議論の分かれるところで...

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Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 8; pp. 798 - 801
Main Authors 福永剛隆, 國友隆二, 宇藤純一, 平田智美, 原正彦, 北村信夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 10.08.1998
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ISSN1344-4964

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Summary:S状結腸癌, 重症冠状動脈病変, 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)同時合併例を経験した. 症例は76 歳, 男性. 主訴は労作時呼吸困難及び間欠性跛行. 狭心症・陳旧性心筋梗塞, ASOの診断にて, 冠状動脈バイパス術及び下肢血行再建術を目的として入院したが, 入院後S状結腸癌も合併していることが判明した.手術はまず先行してS状結腸切除術を, 次いで二期的に冠状動脈3枝バイパス術と両下肢への非解剖学的血行再建術の同時手術を施行した. 本症例の手術順序, 手術時の工夫などにつき文献的考察を加えて報告する. 悪性腫瘍と動脈硬化性病変の合併例に対する治療のstrategyは現在も議論の分かれるところである. 今回われわれは大腸癌, 重症冠状動脈病変, 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の同時合併例に対して, まず先行してS状結腸切除術を, 次いで二期的に冠状動脈3枝バイパス術と両下肢への血行再建術の同時手術を施行し良好な結果を得た.
ISSN:1344-4964