遊離型外因系凝固インヒビターおよびプラスミノゲンアクチベーターインヒビター1の動脈硬化指標としての有用性とその性差:吹田研究
「はじめに」動脈硬化の進行度を把握することは, 動脈硬化性疾患の発症予防や治療において重要な課題である. 頚動脈の内膜中膜肥厚(Intimal-medial thickness:IMT)は, 全身の動脈硬化の進行を評価する有用な指標と考えられている1~3). これまでにIMTと凝固線溶系あるいは血管内皮細胞傷害マーカーとの関連性が検討されてきたが動脈硬化の進行した心血管系疾患発症患者を対象としたcase control studyであり4, 5), 動脈硬化の初期におけるIMTと血管内皮細胞傷害マーカーとの関連性についての検討は少ない. 今回は, 吹田研究における心血管系疾患未発症者を対象とし...
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Published in | 循環制御 Vol. 25; no. 3; pp. 236 - 242 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本循環制御医学会
30.09.2004
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ISSN | 0389-1844 |
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Summary: | 「はじめに」動脈硬化の進行度を把握することは, 動脈硬化性疾患の発症予防や治療において重要な課題である. 頚動脈の内膜中膜肥厚(Intimal-medial thickness:IMT)は, 全身の動脈硬化の進行を評価する有用な指標と考えられている1~3). これまでにIMTと凝固線溶系あるいは血管内皮細胞傷害マーカーとの関連性が検討されてきたが動脈硬化の進行した心血管系疾患発症患者を対象としたcase control studyであり4, 5), 動脈硬化の初期におけるIMTと血管内皮細胞傷害マーカーとの関連性についての検討は少ない. 今回は, 吹田研究における心血管系疾患未発症者を対象とし, IMTと血管内皮細胞傷害マーカーである遊離型外因系凝固インヒビター(free form tissue factor pathway inhibitor:free TFPI)およびプラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1(plasminogen activator inhibitor-1:PAI-1)との関連性を男女別に調べ, それらの関係に性差が存在することを見出し6), その原因について若干の考察を加えた. 「吹田研究の概略」吹田研究は, 1989年に都市部近郊である大阪府吹田市の住民を対象として始まったコホート研究である7~9). 住民台帳から30歳から70歳まで10代毎に男女別に無作為に抽出し, 郵送で案内状を送付し当センターにて検診を行うシステムである. |
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ISSN: | 0389-1844 |