象牙芽細胞様細胞のヒアルロン酸リセプターとリン・タンパク質

• Published in: 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 417
• Main Authors: 藤沢隆一, 水野守道, 田村正人
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 歯科基礎医学会 20.09.2002
• ISSN: 0385-0137

【目的】我々は, 象牙芽細胞様細胞が象牙質リン-タンパク質に応答することを, すでに本学会で報告した. ヒアルロン酸リセプターであるCD44が, 骨のリン-タンパク質のリセプターでもあることが知られている. そこで, 象牙芽細胞様細胞におけるCD44の発現とリン-タンパク質との関係について検討した. 【方法と結果】象牙芽細胞様細胞はラット歯髄細胞より分化させたものを使用した. 歯髄細胞は細胞結節を形成し, 結節内に石灰化物を形成し, 象牙質シアロ-タンパク質(DSP)を発現したので, 象牙芽細胞様細胞に分化したと考えられる. RT-PCRによって, この細胞によるCD44の発現が検出された. また, 細胞表面タンパク質をラベルして, 抗CD44抗体を用いて免疫沈降をおこなった結果, CD44タンパク質の存在が確認された. これらの結果から, 象牙芽細胞様細胞は, 線維芽細胞と同じ“hematopoietic form”のCD44を発現すると言える. CD44の発現は, 分化促進剤である2－グリセロ－リン酸の添加によって低下した. また, 培地にヒアルロン酸を添加すると, アルカリフォスファターゼ活性と, DSPの発現が上昇した. 象牙芽細胞様細胞は, 象牙質リン－タンパク質でコートした表面によく接着するが, この接着は抗CD44抗体によって阻害された. 【結論】象牙芽細胞様細胞はCD44を発現し, このリセプターは象牙質リン－タンパク質のリセプターである可能性がある.