当院における慢性血液透析患者の周術期管理と早期成績

「要旨」 慢性透析患者の周術期管理は血行動態の変動, 出血傾向, 易感染性など様々な問題を抱えている. 今回, 当院における周術期管理と早期成績について検討を行った. 対象は開心術を施行した22例で, 術前透析期間は73.4±88.5ヶ月であった. 術前の透析は, 前日のみ施行し, 除水はドライウェイトまでとしている. 体外循環中はDUFにより電解質の補正, 除水を行う. 術直後の血液浄化は極力回避し, 術翌日から血液透析を連日または隔日で行っている. 術後約1週間で通常の透析サイクルに移行する方針としている. 術後合併症は, 再開胸止血術が2例, 創傷治癒遅延が2例, 気管内再挿管が1例であ...

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Published in体外循環技術 Vol. 38; no. 3; pp. 431 - 435
Main Authors 森本誠二, 山本浩幸, 櫻田卓, 荒木英司, 小笠原あさみ, 毛利尚弘, 大澤久慶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.09.2011
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」 慢性透析患者の周術期管理は血行動態の変動, 出血傾向, 易感染性など様々な問題を抱えている. 今回, 当院における周術期管理と早期成績について検討を行った. 対象は開心術を施行した22例で, 術前透析期間は73.4±88.5ヶ月であった. 術前の透析は, 前日のみ施行し, 除水はドライウェイトまでとしている. 体外循環中はDUFにより電解質の補正, 除水を行う. 術直後の血液浄化は極力回避し, 術翌日から血液透析を連日または隔日で行っている. 術後約1週間で通常の透析サイクルに移行する方針としている. 術後合併症は, 再開胸止血術が2例, 創傷治癒遅延が2例, 気管内再挿管が1例であった. 手術死亡例は認めなかったが, 病院死亡は再開胸止血術例の蘇生後脳症による1例を認めた. 累積生存率は1年76.4%で, 死因は敗血症, 誤嚥性肺炎, 消化管出血, 心室細動, 多臓器不全であった. また, 糖尿病合併例において死亡率, 術後合併症発生率が高かった. 今後は糖尿病合併例における早期成績の改善に向け更なる検討が必要である.
ISSN:0912-2664