胎児水腫に対するECMOの経験

「要旨」出生前に診断されていた胸水による高度両側肺低形成を伴ったNIHFに対してV-A ECMOを経験した. 帝王切開で児を子宮外に完全娩出した後, 胎盤臍帯循環が維持できるmodified EXIT下に気管挿管, 両側胸腔ドレナージを行い, 酸素化が困難な場合に, ECMOを導入する方針とした. ECMO血液回路には出生前に照射合成血で充填した. 娩出時の臍帯損傷により胎盤循環が維持できず, 高度徐脈となったためV-A ECMOを導入した. 出血や間質液の漏出によって脱血不良となり, 輸血にて血流量を確保しながら, 電解質補正, 炎症性反応物質の除去, 浮腫軽減を目的にCHFを施行した. 肺...

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Published in体外循環技術 Vol. 38; no. 4; pp. 527 - 530
Main Authors 青田恭朋, 瓦谷義隆, 秋田千里, 小林あずさ, 中村常之, 桑原強, 河野美幸, 伊川廣道, 秋田利明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2011
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」出生前に診断されていた胸水による高度両側肺低形成を伴ったNIHFに対してV-A ECMOを経験した. 帝王切開で児を子宮外に完全娩出した後, 胎盤臍帯循環が維持できるmodified EXIT下に気管挿管, 両側胸腔ドレナージを行い, 酸素化が困難な場合に, ECMOを導入する方針とした. ECMO血液回路には出生前に照射合成血で充填した. 娩出時の臍帯損傷により胎盤循環が維持できず, 高度徐脈となったためV-A ECMOを導入した. 出血や間質液の漏出によって脱血不良となり, 輸血にて血流量を確保しながら, 電解質補正, 炎症性反応物質の除去, 浮腫軽減を目的にCHFを施行した. 肺サーファクタント補充療法を行い, 用手加圧したが, 両肺の膨らみは極めて不良であった. 出血傾向も著しく, ECMOの長期間維持は困難と判断し, ECMO離脱を行い, まもなく死亡した. 救命にはECMO管理下での肺の成熟が必要であるが, 本症例のように高度両側肺低形成を伴うNIHFに対するECMOの適応および効果にはさらなる検討が必要と考えられた.
ISSN:0912-2664