間歇的静脈圧増強逆行性脳灌流法における脳内局所酸素飽和度の推移の検討

「要旨」当院では超低体温循環停止下での逆行性脳灌流法(RCP)の脳保護効果の増大を期待して, 間歇的静脈圧増強逆行性脳灌流法(IPA-RCP)を施行している. 今回, IPA-RCPにおける脳内局所酸素飽和度(rSO2)の経時的変化について検討した. 更に左開胸下での上半身逆行性脳循環法(c-RCP)のrSO2の経時的変化と比較し, IPA-RCPの脳保護効果についても検討した. 2007年1月から2010年12月に施行された大血管手術において, 超低体温循環停止下でIPA-RCPを施行した24症例を対象とし(IPA-RCP群), c-RCPを施行した9症例を比較対象とした(c-RCP群)....

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Published in体外循環技術 Vol. 39; no. 1; pp. 31 - 34
Main Authors 新美保子, 柏公一, 久保仁, 谷田勝志, 深谷碧, 中村敦, 玉井久義, 金信秀, 師田哲郎, 小野稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2012
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」当院では超低体温循環停止下での逆行性脳灌流法(RCP)の脳保護効果の増大を期待して, 間歇的静脈圧増強逆行性脳灌流法(IPA-RCP)を施行している. 今回, IPA-RCPにおける脳内局所酸素飽和度(rSO2)の経時的変化について検討した. 更に左開胸下での上半身逆行性脳循環法(c-RCP)のrSO2の経時的変化と比較し, IPA-RCPの脳保護効果についても検討した. 2007年1月から2010年12月に施行された大血管手術において, 超低体温循環停止下でIPA-RCPを施行した24症例を対象とし(IPA-RCP群), c-RCPを施行した9症例を比較対象とした(c-RCP群). 検討の結果, IPA-RCP群においてもrSO2は有意に低下していた. しかし. c-RCP群ではより有意に低下していたことから, 脳保護効果はIPA-RCPがc-RCPを上回っている可能性があると考えられた. RCPの効果に関しては議論の分かれるところであり, 今後はIPA-RCPの脳保護効果について, 他の指標を用いて更に検討する必要がある.
ISSN:0912-2664