腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1治験例

症例は11歳, 男子で突然の腹痛で発症し, 急性腹症の診断にて当科へ紹介された.緊急手術にて, 広範に壊死に陥っている小腸が認められ, 検索の結果小腸間膜裂孔に腸管が複雑に入りこんだために生じた絞扼性イレウスと診断された.腸間膜裂孔は4.0×3.0cmの大きさで回腸末端より約50cmの部位に位置しており, この部位を含め1/2以上の小腸を切除し手術を終了した.約6か月を経過した現在short bowel syndromeなどとくに異常もなく健康な日常生活を送っている. 腸間膜裂孔ヘルニアはまれな疾患であるが, いったん発症すると絞扼性イレウスの形をとることが多く, 進行は急速でしばしば腸切除が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 11; pp. 2678 - 2682
Main Authors 塩田, 吉宣, 吉岡, 正智, 田中, 洋介, 内田, 英二, 樋口, 勝美, 谷口, 善郎, 増森, 興治, 山口, 裕通, 氏原, 康之, 恩田, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1990
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Summary:症例は11歳, 男子で突然の腹痛で発症し, 急性腹症の診断にて当科へ紹介された.緊急手術にて, 広範に壊死に陥っている小腸が認められ, 検索の結果小腸間膜裂孔に腸管が複雑に入りこんだために生じた絞扼性イレウスと診断された.腸間膜裂孔は4.0×3.0cmの大きさで回腸末端より約50cmの部位に位置しており, この部位を含め1/2以上の小腸を切除し手術を終了した.約6か月を経過した現在short bowel syndromeなどとくに異常もなく健康な日常生活を送っている. 腸間膜裂孔ヘルニアはまれな疾患であるが, いったん発症すると絞扼性イレウスの形をとることが多く, 進行は急速でしばしば腸切除が必要とされる.本症例に若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.23.2678