小児開心術における人工心肺離脱後の体温管理―温風式加温装置と温水式循環マットの比較
「要旨」人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)離脱後の低体温は, 止血機能低下による出血傾向や合併症の増加を惹起する. 我々は, CPB離脱後の体温管理に用いる加温装置を温水式から加温効率の高い温風式に変更した. 本研究の目的は, 両者の加温効果の違いを後方視的に検討することである. 対象は, 体重10kg以下の小児98例とした. 内訳はCPBの復温時から温風式加温装置を使用した症例(A群)が66例と温水式循環マットを使用した症例(W群)が32例であった. 中枢温と末梢温は, 離脱から5分ごとに60分までの値を比較した. 解析方法は, 群分けと時間, および両者の交互...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 39; no. 1; pp. 1 - 5 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.03.2012
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Subjects | |
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 「要旨」人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)離脱後の低体温は, 止血機能低下による出血傾向や合併症の増加を惹起する. 我々は, CPB離脱後の体温管理に用いる加温装置を温水式から加温効率の高い温風式に変更した. 本研究の目的は, 両者の加温効果の違いを後方視的に検討することである. 対象は, 体重10kg以下の小児98例とした. 内訳はCPBの復温時から温風式加温装置を使用した症例(A群)が66例と温水式循環マットを使用した症例(W群)が32例であった. 中枢温と末梢温は, 離脱から5分ごとに60分までの値を比較した. 解析方法は, 群分けと時間, および両者の交互作用を固定効果, 対象者を変量効果として線形混合モデルを用いた. 中枢温の推移は, A群が上昇傾向, W群が下降傾向を示し, 両群間に有意差を認めた. 末梢温の推移は, 両群ともに上昇傾向を示し, 傾きはA群が有意に強い傾向を示した. A群は, W群と比べCPB離脱後の加温能力が高いことが示され, CPBによる復温時間の短縮やmodified ultrafiltration施行による体温低下の防止に効果的である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0912-2664 |