肺高血圧症の有無が乳児期心室中隔欠損症に対する体外循環法に及ぼす影響
「要旨」心室中隔欠損症に対する肺高血圧症の合併の有無が体外循環法にどのような影響を与えるのかについて後方視的研究を行った. 乳児期に心室中隔欠損症に対する手術を施行した28症例を対象とし, 肺高血圧症合併群(PH群)14例と非合併群(N群)14例に分類し比較検討した. PH群では挿管時間, 集中治療室の滞在時間が有意に長かった. PH群では体外循環中の限外濾過量が多かった. PH群では体外循環後の収縮期/拡張期血圧が低かった. PH群では術前に肺動脈弁輪径および左室拡張末期径が拡大し, 術後には右室拡張末期径が拡大していた. PH群では術前に肺動脈弁が拡大し肺動脈血流の増加に伴う容量負荷が認め...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 39; no. 1; pp. 6 - 11 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.03.2012
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Subjects | |
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 「要旨」心室中隔欠損症に対する肺高血圧症の合併の有無が体外循環法にどのような影響を与えるのかについて後方視的研究を行った. 乳児期に心室中隔欠損症に対する手術を施行した28症例を対象とし, 肺高血圧症合併群(PH群)14例と非合併群(N群)14例に分類し比較検討した. PH群では挿管時間, 集中治療室の滞在時間が有意に長かった. PH群では体外循環中の限外濾過量が多かった. PH群では体外循環後の収縮期/拡張期血圧が低かった. PH群では術前に肺動脈弁輪径および左室拡張末期径が拡大し, 術後には右室拡張末期径が拡大していた. PH群では術前に肺動脈弁が拡大し肺動脈血流の増加に伴う容量負荷が認められ, 術後には容量負荷による右心不全傾向と呼吸不全の傾向が認められた. これらのことから, 肺動脈圧を合併した心室中隔欠損症に対する乳児体外循環の際には, 容量負荷に対応した体外循環法が求められ, 体外循環後の肺高血圧危機の予防と右心不全対策, また術後の呼吸機能低下に対する対策を考慮した体外循環法の確立が望まれる. |
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ISSN: | 0912-2664 |