逆流防止弁形成食道胃吻合術

近側胃切除術後の逆流防止弁形成食道胃吻合術の大要は次のごとくである.(1) 胃の切離は大弯側が一辺がほぼ2.5cmの三角形に残るように行う.(2) 三角部を巾着縫合で胃内に埋没, 逆流防止弁を作る.(3) 食道胃前壁吻合は弁の先端がふれる高さで行う.(4) 吻合終了後, 遊離している大弯側切離端をつり上げるように食道の左側に固定し人工胃底部を形成する. これまで17例に本法を施行し, 1例のみに軽度食道炎を認めたが手技の拙劣さに起因していた. 1年以上経過した11例で弁の萎縮をみたものはない. 本法の逆流防止機構は, 臥位では人工胃底部に圧が加わることにより弁作用が確実に働くとともに食道下部昇...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 16; no. 12; pp. 2053 - 2059
Main Authors 松代, 隆, 針生, 常郎, 長嶋, 英幸, 山本, 協二, 豊島, 隆, 今岡, 洋一, 山形, 倫, 奥山, 信一, 三品, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1983
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Summary:近側胃切除術後の逆流防止弁形成食道胃吻合術の大要は次のごとくである.(1) 胃の切離は大弯側が一辺がほぼ2.5cmの三角形に残るように行う.(2) 三角部を巾着縫合で胃内に埋没, 逆流防止弁を作る.(3) 食道胃前壁吻合は弁の先端がふれる高さで行う.(4) 吻合終了後, 遊離している大弯側切離端をつり上げるように食道の左側に固定し人工胃底部を形成する. これまで17例に本法を施行し, 1例のみに軽度食道炎を認めたが手技の拙劣さに起因していた. 1年以上経過した11例で弁の萎縮をみたものはない. 本法の逆流防止機構は, 臥位では人工胃底部に圧が加わることにより弁作用が確実に働くとともに食道下部昇圧帯も形成され, 胃内容の食道への逆流が防止されると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.16.2053