上皮内伸展により2つの腫瘤を形成した胃リンパ球浸潤性髄様癌の1例
患者は60歳の男性で, 胃潰瘍にて通院中にフォローアップで行った胃内視鏡検査で異常を指摘され入院となった. 胃内視鏡検査, 胃X 線検査では胃体上小彎に連続する2つの隆起性病変を認めた. 口側の病変は一部正常な上皮で覆われ, なだらかに立ち上がっており, 中央に線状の陥凹を伴っていた. 肛門側の病変は中央に円形の深い陥凹を認め, 周囲は環状に隆起し, 小型Borrmann2型を呈していた. 2つの病変の間には正常上皮が存在し, それぞれが独立した病変と考えられた. 早期胃癌の診断にて噴門側胃切除術を施行した. 病理組織学的には双方とも低分化型腺癌で間質には著明なリンパ球浸潤とリンパ濾胞形成を認...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 12; pp. 1823 - 1828 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.12.2004
一般社団法人日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery |
Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.37.1823 |
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Summary: | 患者は60歳の男性で, 胃潰瘍にて通院中にフォローアップで行った胃内視鏡検査で異常を指摘され入院となった. 胃内視鏡検査, 胃X 線検査では胃体上小彎に連続する2つの隆起性病変を認めた. 口側の病変は一部正常な上皮で覆われ, なだらかに立ち上がっており, 中央に線状の陥凹を伴っていた. 肛門側の病変は中央に円形の深い陥凹を認め, 周囲は環状に隆起し, 小型Borrmann2型を呈していた. 2つの病変の間には正常上皮が存在し, それぞれが独立した病変と考えられた. 早期胃癌の診断にて噴門側胃切除術を施行した. 病理組織学的には双方とも低分化型腺癌で間質には著明なリンパ球浸潤とリンパ濾胞形成を認めた. 2つの病変は上皮内進展により連続していた. また双方ともEBER-1 (Epstein-Barr virus encoded RNA) in situ hybridization陽性であり, その発生にEpstein-Barr virus (EBV) の関与が疑われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.37.1823 |