新規細胞接着分子POEMの単離と機能解析

細胞接着は器官形成において重要なステップである. 近年, Epidermal growth factor(EGF)-likeリピート構造をもつ分子群が, 情報伝達性の分子として注目されており, 歯胚や骨形成領域においても重要な役割を果たしていると考えられる. そこで, EGF-likeリピート構造のdegenerate primerを作製し, RT-PCR法にて骨芽細胞株MC3T3-E1から新規細胞外タンパク質POEMを単離同定した. POEMは5つのEGF-likeリピート, 細胞接着に関わるRGD配列, タンパク間相互作用に関わるMAMドメインを有していた. マウス胎生16. 5日齢におい...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 399
Main Authors 守村直子, 片桐岳信, 須澤徹夫, 上條竜太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:細胞接着は器官形成において重要なステップである. 近年, Epidermal growth factor(EGF)-likeリピート構造をもつ分子群が, 情報伝達性の分子として注目されており, 歯胚や骨形成領域においても重要な役割を果たしていると考えられる. そこで, EGF-likeリピート構造のdegenerate primerを作製し, RT-PCR法にて骨芽細胞株MC3T3-E1から新規細胞外タンパク質POEMを単離同定した. POEMは5つのEGF-likeリピート, 細胞接着に関わるRGD配列, タンパク間相互作用に関わるMAMドメインを有していた. マウス胎生16. 5日齢において, 歯胚の外エナメル上皮とエナメル器の頬側部の細胞群でPOEMのmRNAの高い発現が認められた, 歯乳頭では認められなかった. その他, 未分化骨芽細胞, 腎臓尿細管, 副甲状腺, 甲状腺等で高い発現が確認された. MC3T3-E1細胞のみならず, α8β1インテグリンを恒常的に発現させたKA8細胞は, POEMのRGD配列依存的に接着, 伸展した. 本研究により, 骨及び腎臓において, POEMはα8β1インテグリンのリガンドとして働く細胞接着分子であることが示唆された. 今後, 歯胚におけるPOEMのレセプター分子を解明する必要がある. (会員外共同研究者)手塚建一, 手塚洋子, 宮谷精二, 笹金宜之, 穂積信道
ISSN:0385-0137