体外循環におけるクロルプロマジンとニトログリセリンの血管拡張作用の比較

「要旨」小児・新生児体外循環における血管拡張薬をクロルプロマジンからニトログリセリンへ変更し, 体外循環にどのような影響を及ぼすかを検証した. 2007年2月から2010年12月までに体外循環を施行した症例のうち, 体表面積1m2以下, 体外循環時間2時間以内, 最低直腸温32±1℃, 心停止を要した25症例を対象とし, クロルプロマジン使用群をA群(21例), ニトログリセリン使用群をB群(4例)に分け, 体外循環開始直後と体外循環離脱直前の乳酸値変化率(Δlac), 直腸温の冷却時間および復温時間, 体外循環中の尿量について比較検討した. その結果, 両群間において有意差を認めなかったこと...

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Published in体外循環技術 Vol. 39; no. 2; pp. 163 - 165
Main Authors 深谷碧, 柏公一, 新美保子, 中村敦, 黒澤秀朗, 谷田勝志, 久保仁, 玉井久義, 村上新, 小野稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2012
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」小児・新生児体外循環における血管拡張薬をクロルプロマジンからニトログリセリンへ変更し, 体外循環にどのような影響を及ぼすかを検証した. 2007年2月から2010年12月までに体外循環を施行した症例のうち, 体表面積1m2以下, 体外循環時間2時間以内, 最低直腸温32±1℃, 心停止を要した25症例を対象とし, クロルプロマジン使用群をA群(21例), ニトログリセリン使用群をB群(4例)に分け, 体外循環開始直後と体外循環離脱直前の乳酸値変化率(Δlac), 直腸温の冷却時間および復温時間, 体外循環中の尿量について比較検討した. その結果, 両群間において有意差を認めなかったことから, 血管拡張薬を変更したことによる体外循環への影響はなかったと推測される. クロルプロマジンは本来, 抗精神病薬として筋肉内に投与される薬剤であり, 更にヘパリンと配合不可であることが医薬品インタビューフォームに記載されていることから, 投与方法によっては不具合が生じる可能性がある. 従って, 人工心肺回路内への薬剤投与は, 慎重に行うことが重要であると考える.
ISSN:0912-2664