十二指腸潰瘍に対する選択的近位迷走神経切離術の治療成績: 広範囲胃切除術と比較して

十二指腸潰瘍に対する選択的近位迷切術 (SPV) 98例 (術後6ヵ月~6年経過) を対象として, その術後成績について臨床所見, 検査成績およびアンケート調査成績を検討して, 次の結果を得た. 減酸率はMAOで73.5%であり, 広切85.4%に比べてやや低いが, drainageの有無では差がない. 再発率は2.0%で広切の1.4%よりも高い傾向がみられ, drainage (-) 群には再発例はない. 術後愁訴は広切よりSPVことにdrainage (-) 群に多いが, 術後経過とともに減少し, 術式間に差がなくなる. 社会復帰, 就労状況は広切に比べて良く, drainage (+)...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 17; no. 10; pp. 1830 - 1835
Main Authors 三隅, 厚信, 八木, 泰志, 原田, 和則, 本明, 宜彦, 大地, 哲史, 水本, 誠一, 赤木, 正信, 谷脇, 孝, 久野, 則明, 松岡, 寿夫, 岡部, 正人, 有田, 哲正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.1984
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Summary:十二指腸潰瘍に対する選択的近位迷切術 (SPV) 98例 (術後6ヵ月~6年経過) を対象として, その術後成績について臨床所見, 検査成績およびアンケート調査成績を検討して, 次の結果を得た. 減酸率はMAOで73.5%であり, 広切85.4%に比べてやや低いが, drainageの有無では差がない. 再発率は2.0%で広切の1.4%よりも高い傾向がみられ, drainage (-) 群には再発例はない. 術後愁訴は広切よりSPVことにdrainage (-) 群に多いが, 術後経過とともに減少し, 術式間に差がなくなる. 社会復帰, 就労状況は広切に比べて良く, drainage (+) 群よりも (-) 群で良好である. SPVは術後の減酸および再発の点で広切よりも多少劣るが, 術後愁訴や社会復帰状況の面では良好であり, その適応を慎重に選べばかなり優れた術式であると思われる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.17.1830