人工肺の完全閉塞をきたした高血小板血症の幼児症例

「要旨」体外循環施行中には様々なトラブルが起こる可能性があり, 時には人工心肺回路の一部を交換しなければならないこともある. 2010年に日本体外循環技術医学会が行ったインシデント・アクシデントのアンケート集計報告によると人工肺の交換を要した症例が年間数十件あることが報告されている. 今回, 無脾症候群を合併した幼児に対して体外循環を開始したところ, 急激な回路内圧の上昇を認め, 人工肺の交換を余儀なくされた症例を経験した. 人工肺を交換した後は, 問題なく体外循環を終了することができた. 人工肺を検証した結果, 人工肺は完全閉塞の状態であり, 電子顕微鏡像では人工肺膜の表面に大量の血小板の付...

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Published in体外循環技術 Vol. 40; no. 2; pp. 189 - 191
Main Authors 中村敦, 柏公一, 久保仁, 黒沢秀郎, 谷田勝志, 玉井久義, 村上新
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2013
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」体外循環施行中には様々なトラブルが起こる可能性があり, 時には人工心肺回路の一部を交換しなければならないこともある. 2010年に日本体外循環技術医学会が行ったインシデント・アクシデントのアンケート集計報告によると人工肺の交換を要した症例が年間数十件あることが報告されている. 今回, 無脾症候群を合併した幼児に対して体外循環を開始したところ, 急激な回路内圧の上昇を認め, 人工肺の交換を余儀なくされた症例を経験した. 人工肺を交換した後は, 問題なく体外循環を終了することができた. 人工肺を検証した結果, 人工肺は完全閉塞の状態であり, 電子顕微鏡像では人工肺膜の表面に大量の血小板の付着と血小板を覆うフィブリン網の形成が確認された. 術前における患者血液データでは血小板数が64.1万/μLと異常高値であった. 無脾症候群を合併する患者では, 経過を追うごとに血小板数が高値になる傾向があると報告されている. 今回の人工肺の閉塞は, 高血小板血症が1つの要因であると考えられ, 血小板数の高い患者に対して体外循環を施行するときには注意をする必要があると考える.
ISSN:0912-2664