ラット脳室周囲器官ニューロンのムスカリン受容と飲水行動
ラット脳室内へのムスカリン注入により飲水行動が惹起され, この反応は脳室周囲器官ニューロンのムスカリン受容体を介していることが示唆されている. 脳室周囲器官の中でも, 脳弓下器官は脳室内や血管内の情報を感知し体液調節をコントロールする部位であると考えられている. よって, 今回, ムスカリン脳室内注入後の飲水量の変化を自由行動下のラットで調べ, さらにスライス標本よりブラインドバッチクランプ法で脳弓下器官ニューロンに対するムスカリンの作用について検討した. また, 脳弓下器官ニューロンのムスカリン受容体について免疫組織およびRT-PCR法により調べた. 膜電流固定下で, ムスカリン投与により,...
Saved in:
Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 491 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0137 |
Cover
Summary: | ラット脳室内へのムスカリン注入により飲水行動が惹起され, この反応は脳室周囲器官ニューロンのムスカリン受容体を介していることが示唆されている. 脳室周囲器官の中でも, 脳弓下器官は脳室内や血管内の情報を感知し体液調節をコントロールする部位であると考えられている. よって, 今回, ムスカリン脳室内注入後の飲水量の変化を自由行動下のラットで調べ, さらにスライス標本よりブラインドバッチクランプ法で脳弓下器官ニューロンに対するムスカリンの作用について検討した. また, 脳弓下器官ニューロンのムスカリン受容体について免疫組織およびRT-PCR法により調べた. 膜電流固定下で, ムスカリン投与により, 放電の増加を伴った脱分極が観察された. 膜電位固定下で脳弓下器官ニューロンへのムスカリン添加により内向き電流が生じた. この電流は濃度依存性に増加し, 約-20mVで逆転した. また, M1, M3ムスカリン性受容体アンタゴニストである4-DAMPの添加により抑制された. 免疫組織学的に検討したところM3抗体で脳弓下器官ニューロンの細胞体が染色された. また, RT-PCR法により, M3, M4, M5のmRNAからの増幅が検出できた. これらの結果は, ムスカリンによる飲水行動が脳弓下器官ニューロンのムスカリン受容体の活性化を介している可能性を示唆している. |
---|---|
ISSN: | 0385-0137 |