常温体外循環の臨床的有用性と心筋保護効果について‐軽度低体温体外循環との比較・検討

近年開心術において心筋保護法の進歩と共に, 常温体外循環が選択される機会が増えつつある. そこで今回われわれは, 常温体外循環の臨床面における有用性とその心筋保護効果について, 軽度低体温体外循環との比較・検討を行ったので若干の考察を加えて報告する. 対象は心筋保護法にblood cardioplegiaを用いた待機的冠状動脈バイパス術症例22例で, これらを11例ずつ常温体外循環群(送血温38℃)と軽度低体温群(同32℃)に分け, 大動脈遮断解除後の補助循環時間, cardioversion使用の有無(自己心拍の自然再開の有無), 術中・術後の使用カテコールアミン量, 術後出血量についてそれ...

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Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 8; pp. 671 - 676
Main Authors 宇野吉雅, 堀越茂樹, 江本秀斗, 宮本尚樹, 鈴木博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 10.08.1998
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ISSN1344-4964

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Summary:近年開心術において心筋保護法の進歩と共に, 常温体外循環が選択される機会が増えつつある. そこで今回われわれは, 常温体外循環の臨床面における有用性とその心筋保護効果について, 軽度低体温体外循環との比較・検討を行ったので若干の考察を加えて報告する. 対象は心筋保護法にblood cardioplegiaを用いた待機的冠状動脈バイパス術症例22例で, これらを11例ずつ常温体外循環群(送血温38℃)と軽度低体温群(同32℃)に分け, 大動脈遮断解除後の補助循環時間, cardioversion使用の有無(自己心拍の自然再開の有無), 術中・術後の使用カテコールアミン量, 術後出血量についてそれぞれ比較・検討した. また心筋保護効果については, 術中・術後に測定したCPK-MB, 心筋ミオシンLC-II, 心筋トロポニン-Tの値を指標とし, その比較により判定を行った. 常温体外循環群では, 遮断解除後の補助循環時間, cardioversion使用症例数, 術後出血量に関して, 軽度低体温群に比較し有意に減少が認められた(p<0.05).
ISSN:1344-4964