空洞内癌性腫瘤により菌球様陰影を呈した肺癌の1例

空洞性病変の経過観察中に, 癌性腫瘤により菌球様陰影を呈した空洞性肺癌の1例を報告した. 症例は75歳, 女性. 胸部X線写真上, 右肺上葉に空洞性陰影を認め肺癌が疑われるが, 経気管支生検等で確定診断にいたらず外来経過観察となった. その後, 空洞内に菌球様の腫瘤陰影が出現し, 空洞と腫瘤は徐々に増大したため, 肺アスペルギローマ, 肺癌, あるいは両者の合併等が疑われた. 再度施行した経気管支生検で扁平上皮癌が検出され, 原発性肺癌 Stage I (T2N0M0) と診断し右上葉切除を施行した. 切除標本では, 空洞壁から内腔に突出した腫瘤を認め, 空洞壁と空洞内腫瘤はいずれも扁平上皮癌...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 11; pp. 1289 - 1293
Main Authors 杉本, 昌宏, 山脇, 功, 桂, 秀樹, 橋本, 幾太, 稲野, 秀孝, 飯塚, 昌雄, 佐野, 正明, 水野, 武郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.11.1996
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Summary:空洞性病変の経過観察中に, 癌性腫瘤により菌球様陰影を呈した空洞性肺癌の1例を報告した. 症例は75歳, 女性. 胸部X線写真上, 右肺上葉に空洞性陰影を認め肺癌が疑われるが, 経気管支生検等で確定診断にいたらず外来経過観察となった. その後, 空洞内に菌球様の腫瘤陰影が出現し, 空洞と腫瘤は徐々に増大したため, 肺アスペルギローマ, 肺癌, あるいは両者の合併等が疑われた. 再度施行した経気管支生検で扁平上皮癌が検出され, 原発性肺癌 Stage I (T2N0M0) と診断し右上葉切除を施行した. 切除標本では, 空洞壁から内腔に突出した腫瘤を認め, 空洞壁と空洞内腫瘤はいずれも扁平上皮癌で真菌類は認めなかった. 扁平上皮癌の空洞壁の一部がポリープ状に内腔に発育し, 癌性腫瘤による菌球様陰影を形成したものと考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.34.1289